甘露寺蜜璃 ページ13
夜、自分の家に帰り携帯を見つめた。
新しい友達、という欄にAの名前があることに違和感しかなかった。
半ば無理やりLINEを交換させられた俺は、
満足げに帰って行ったAのことを思い出していた。
前世の時からあいつは俺に付き纏い、
どんなに罵倒し、あしらおうとも懲りずに風柱邸に足を運んでいた。
「…たく、どんなメンタルしてんだよあいつ。」
懐かしく、そしてあいつが怒るとこの俺が口で負かされることが多いのも何も変わらない。
そういう奴だ、昔から。
本当は嬉しかったんだ、また会えたこと。
変わらないお前が目の前にいたこと。
あんな冷たく言い放つつもりもなかったのに、
どうして恋人同士であった頃のように
多少なりとも素直になれねぇんだろうなぁ、俺は。
今でも少なからず想ってくれているんだろう。
バカだな、あいつ。
こんなにも俺は臆病になってしまったというのに。
今の俺は俺であって俺じゃない。
お前を守れる自信も、最悪のケースを想像した時の、その悲しみの乗り越え方も、
俺は持ち合わせていない。
お前から突き放してくれたらどれだけ楽か。
「……変わらなさすぎて参るわ、マジで。」
Aのことを考えていた時に鳴り響く携帯。
ディスプレイは馴染みのあいつの名前。
「なんだぁ！？」
『不死川さん、今日は荒ぶってらっしゃるの？
(キャー、素敵だわぁ)』
「…珍しいじゃねぇか、電話なんて」
『だって、だって、だって！私、聞きましたよ！Aちゃんと再会したって！』
すんげぇ興奮気味の電話相手、甘露寺蜜璃。
犯人は言わずとも冨岡だな。
『Aちゃんに会わせてもらえません？
私もずっと探してたんです！』
「私も、ってなんだ、も、って！」
『え！？だって不死川さんも探してらっしゃったでしょ？聞かなくてもわかりますよ〜』
えへへへってなんて笑うこいつはいつでも陽気だ。
それに会わせろなんて言われても
俺からAに言える訳もねぇ。
でも師弟関係であったこいつらはそりゃあ会いてぇか。
「…でもおめぇこっちこれんのかぁ？」
『週末なら行けるので！あ、伊黒さんもいらっしゃいますが！』
「……てめぇも伊黒だろうがぁ」
『あ、そうでした！』
電話越しでも分かる。きっとこいつは今顔を赤く染めてると。
甘露寺と伊黒は去年籍をいれた。
伊黒の実家が農家であり、田舎で夫婦仲良く農業を営んでいるらしい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 199人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
苺 - 富岡じゃなくて冨岡ですよ ！あと私、実弥さん好きなのでめちゃめちゃこの作品好きです !! (2021年2月28日 14時) (
レス) id: 8cc7755bea (このIDを非表示/違反報告)
結愛(プロフ) - 唯梨さん» 嬉しすぎるお言葉！煉獄さんのはぱっと思いつきで(笑)またいらしてください！ (2021年1月22日 16時) (レス) id: 3d4a15fd31 (このIDを非表示/違反報告)
結愛(プロフ) - bell103ntさん» 嬉しすぎます！完結に向けて頑張りますね！ (2021年1月22日 16時) (レス) id: 3d4a15fd31 (このIDを非表示/違反報告)
唯梨(プロフ) - キュン死しそうです…！煉獄さんのあだ名が残り物掃除機なのめちゃくちゃ笑いましたww！更新楽しみにしてます！！ (2021年1月22日 16時) (レス) id: 10a0ab61a8 (このIDを非表示/違反報告)
bell103nt(プロフ) - 通知来るたびに速攻で来てます！！！任せてください！笑 (2021年1月21日 16時) (レス) id: b46ea41f08 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：結愛
| 作成日時：2020年12月31日 14時
