3JSBの末っ子ちゃん ⑤ (ページ2)

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涙 ⑫ ページ2

《岩田side》

バタンっと閉まった扉の音に

静まり返る部屋の中。

去っていってAのあの顔が離れない。

どこで間違った？

どこであいつの気持ちが離れた？

ずるずると、壁にもたれかかる俺は

右手で頭を抱えた。

ずっと傍で笑ってくれると思ってた。

メンバーに認めてもらえてから

HIROさん、EXILETRIBEのみんな、

それから世間にもちゃんと伝えて

いつかは結婚して子どもみてって

勝手にそんな未来像を描いてた。

毎日仕事頑張れたのも

毎日楽しい気持ちになれたのも

毎日幸せな気持ちになれたのも。

あいつがいつも笑ってくれたから。

何ヶ月か俺の家で過ごした日々が

まるで昨日のように鮮明に出てくる。

玄関を開けるといつも犬みたいに駆け寄ってきて

一緒にご飯食べて一緒に寝て

一緒に歯磨きなんかりして。

一緒にテレビみてたら

気づいたら小さな寝息たてて寝てたりしてた。

岩ちゃん。って笑顔で俺の名前を呼ぶAが

すげぇ可愛くて愛しくて。

岩｢A……っ｣

もう我慢出来なかった。

失った。

俺の一番大事なもんを。

もう戻らねぇんだ、ってそう思ったら

涙が止まらなかった。

床に落ちてく雫たちは

消えるどころかどんどん溜まってく。

岩｢……ごめん、……ごめん……っ｣

傷つけて、辛い思いさせて、

我慢強いAに甘えてた。

あいつの性格を分かってたはずなのに、

想いあってれば大丈夫、なんて思い込んで。

もっと気持ちも伝えれた。

もっと別のやり方で愛してやれた。

謝ったって、もう届くはずないけど

それでも、謝らずにはいられなかった。

一晩その場から動くことができずに

そして涙が枯れることもなかった。