3JSBの末っ子ちゃん ⑤ (ページ1)

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涙 ⑪ ページ1

《岩田side》

仕事を終わらせてAに連絡した。

家に着いてすぐに鳴り響いたインターホン。

｢…………｣

岩｢A……｣

扉を開けて待ち望んだ相手を確認して
家の中に入れた。

岩｢……座りな｣

そう言う俺に

｢大丈夫。｣

なんて、切なそうに笑う。

このときから既に妙な違和感を覚えて

すげぇ胸がきゅっとなって苦しくなって。

岩｢あ、えっと、とりあえずコーヒー淹れるから……｣

｢いらない｣

岩｢…………｣

焦ってる俺は完全に動きが止まっちまって。

そんな俺を他所にAは言葉を続けた。

｢……岩ちゃん｣

岩｢……ん？｣

平然を装って笑顔で言葉を出すのが

今の俺には精一杯で。

なんだろうな、すげぇ嫌な予感すんの。

Aを見ると

切なそうに儚く笑ってる。

なのに、凄く澄んでて綺麗なんだよ。

こんなAの顔、初めてみた。

なんて表現したらいいのかわかんねぇけど

その顔みたら、

何言っていいかわかんねぇ。

そんな時、Aの口から出てきたのは

俺が一番聞きたくない言葉だった。

｢……別れよう、｣

岩｢…………｣

｢……あたしたち……｣

岩｢……な、に言ってんだよ…っ…｣

｢…………｣

岩｢……なぁ、｣

｢ごめん……｣

岩｢……待てよ、納得できるわけねぇだろ｣

｢…………｣

岩｢あのことは、悪かったって思ってる。

でもあのスキャンダルは……｣

｢わかってる！……岩ちゃんからのあの言葉は信じてる｣

岩｢なら！｣

｢……ごめんなさい。｣

岩｢…………｣

｢……明日からはまた、前みたいにメンバーとしてよろしくお願いします｣

そう言うAは俺に頭を下げた。

｢それだけ言いにきたの。……疲れてるのにごめんね。

お邪魔しました。｣

玄関へと歩いていくAの右手首を

ぐっと掴んだ。

岩｢待てよ｣

立ち止まったAだったけど

顔と体は俺の方を向いてはくれなくて。

岩｢こんなんで終わりとか、納得｣｢岩ちゃん｣

俺の言葉を遮り俺の名を呼び

そして俺の方へと振り返る。

｢幸せだった。ありがとう。｣

その後に見せたAの顔がすげぇ綺麗で
掴んでた手は緩んで、
去っていくAの後を追うこともできなかった。