６０杯目 ページ10
深「まず、俺はAちゃんが好きです」
「ん、知ってます」
深「Aちゃんは、俺のことどう思ってる？」
「………どう、なんだろ？」
ソファに並んで座って、向き合うようにAちゃんの手を握って、目を合わせて、ちゃんと話し合い。俺の事どう思ってるか聞けば、どうなんだろうって曖昧な返事。わかんないから俺も聞いてんだけどね、笑
深「俺のこと嫌い？」
我ながら意地悪な質問。そんなの、嫌いじゃないって言うことくらい目に見えてる。分かってるけど、
「嫌いじゃないよ」
ほらね？分かってるんだ。そう返ってくるって。分かってて質問してんの。好きって言われてる訳じゃないのに、嫌いじゃないって言われて安心してる。
酔った勢いでよく聞くの。恋愛感情を持ってるのは俺だけで、特別な意味の好きは無いって分かってたけど、友達としてでも好きだと言って欲しくて、「俺のこと嫌い？」って、意地悪な質問を投げかけてた。
その度にAちゃんは「嫌いじゃないよ」って言ってくれて、最初は濁されて嫌だったけど、素直じゃないAちゃんなりの精一杯なのかなと気づいてから、「嫌いじゃない」と言われるのが嬉しかった。
今回、Aちゃんに同意とは言え手を出しちゃって、嫌われても仕方ないかなとか、もう友達としても嫌われるかもとか考えてたから、「嫌い？」って聞いて「嫌いじゃないよ」と返ってきたのは俺にとっては凄く嬉しいことで。
冷静に話し合うと決めて来たのに、ぎゅうってたまらず抱きつく。
「ん、なに…」
深「んーん、うれしくて」
深「でも、じゃあ、尚更こんな曖昧な関係辞めたいな、」
「……私もね、思ってたよ」
「ふっかとするのが嫌とかじゃなくて、このままでいいのかなって…考えてた、」
深「…！ おなじ、」
「あは、似たもの同士だねぇ」
深「……Aちゃん」
「ん？」
深「俺ら、1回距離置いてみない？」
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作成日時：2023年6月4日 0時
