【紫】素直じゃない２人 (ページ49)

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９９杯目【過去編】ページ49

1件目の店を出て、向かった先はアキくんのお店。私とふっかが一緒に入っていくと、アキくんは驚いた顔をしていたけど、すぐいつもの笑顔になって、【いらっしゃい】と言ってくれた。

ふっかといつもの席に座って、飲み物を頼んで、くだらない話をすること2時間。

ア【 2人とも、ちょっといい？】

アキくんが私たちの前に立って、改まった顔で話しかけてきた。
何となく内容は察しついてるけど、やっぱり緊張する。そんな私に気がついたのか、アキくんからは死角の場所でふっかの手が触れ、驚いてふっかの顔を見れば、さっきみたいに小指だけ絡めてきて、意識が全てそこに注がれる。

深【どうしたの？アキ】

え、このまま話進めるの…？

ア【たつは勘鋭いからもう分かるかもだけど】
ア【俺ね、来年の春頃に結婚するんだ】

アキくんからは予想していた通りの言葉。“ 結婚 ”という単語に思わず反応しちゃって小指に力が入ってしまったけれど、全然ショックな感じはなくて。きっと笑って【おめでとう】って言えると、そう思っていたのに、

深【相手は？ひぃちゃん？】

ふっかの口から発せられた、女の子の名前。……と言うかあだ名。それまではまだ、2人がどこまでの仲なのかわからなかったから良かったけど、この後から私の気持ちはどんどん沈むことになる。

深【ね、ひぃちゃん元気？】

ア【元気だよ、たつにも会いたいって言ってた】

深【えぇ、まぁじ？】
深【俺もひぃちゃんに会いたいと思ってたんだよね〜】

ア【じゃあ今度3人で集まる？】

深【うーん、ひぃちゃんと二人がいいかなぁ笑】

ア【それは無理】

深【えー、残念】
深【ひぃちゃんと久しぶりに2人でバカやりたかったのに笑】

ア【そんなと言ってると会わせないよ？笑】

深【んは、ごめんごめん笑】
深【 3人で会お。高校の話しながらお酒呑んだりね？笑】

ア【そうだね、また話しとくよ笑】

2人で楽しそうに、【ひぃちゃん】のお話。アキくんの彼女だし、アキくんが嬉しそうなのはいいけど、ふっかが【ひぃちゃん】を語る顔は見たことない顔で。なんだかすごくモヤモヤする。

二人がいい、なんて。女の子だったら誰でもいいの？

ふっかの発言にイライラして、繋がれていた小指を解いて荷物をまとめる。

深【 Aちゃん？帰るの？】

【 …… 】

深【じゃあ俺も帰るー】