【紫】素直じゃない２人 (ページ47)

今日:24 hit、昨日:20 hit、合計:58,938 hit

９７杯目【過去編】ページ47

男【誰と電話してたんだよ】

【誰だっていいじゃないですか】

男【 …まぁいいや】
男【飯行こうぜ。ここであったのも何かの縁だし】
男【 2人で飯食うの久しぶりじゃん？だからさ、】

【だから、嫌って言ってんじゃん】

しつこすぎる元カレにいよいよイライラしてきていると、斜め後ろにずっと待っていたふっかの姿が見えて、一瞬にして安心感に包まれ、イライラしていた気持ちも穏やかな気持ちになる。

だけど、元カレからの視線はやっぱりしつこくて、このままじゃめんどくさいことになりそうだと思い一芝居打とうと考えて、ベンチから立ち上がりふっかに近づく。

深【ごめんね、待った？】

【遅い】

いつもだとしないが、これで気づいてくれと願い、ふっかの袖口をクイッと引っ張ってみると、何かを察してくれたのか【ごめんね】と私の頭に手を乗せ微笑んでくる。

……待って、やばいかも、

男【誰そいつ】

深【あんたこそ、誰？】

男【 Aの元カレだけど？】

深【へぇ、元カレね】

自分から仕掛けといてなんだが、頭に乗せられたままのふっかの手の感触に、信じられないほどドキドキしてる心臓に耐えられなくて、早く行こうと言ってふっかを見つめる。

だけど、元カレという存在は簡単には行かせてくれなくて…

男【おい、A！まだ話は、！】

私に向かって伸ばされた手を、ふっかは容赦なく払い除けた。瞬間、余裕そうな顔が、急に男の顔になって、聞いた事のない低いトーンで【話？】と元カレに向かって話し出す。

深【今更何の話ですか？】
深【未だに未練タラタラですって話でもしてたの？】
深【でもごめんなさいね】
深【もうこの人、“俺の”だから】

えっ、

深【分かったら、もう二度とAちゃんの前に現れないでくれる？】

男【ふ、ふざけんな！】
男【俺はこいつのな！】

深【なに？初めて貰ったってマウントなら聞かないよ？】
深【そんなの別に気にしてないし】
深【昔より今でしょ。今のAちゃんは俺しか知らないし】
深【俺しか知らなくていい】
深【お前との記憶なんてすぐ塗り替えるから安心してよ】

男【くっ、】

深【さ、行こっか】
深【俺お腹すいちゃった】

【え、あ… 】
【うん、私もお腹すいた】

さっきの顔は何処へやら、フワッといつもみたく笑って私の手を握るふっか。立ち尽くす元カレを置いて私たちはその場を離れた。