【紫】素直じゃない２人 (ページ40)

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９０杯目【過去編】ページ40

柴【『ふっかさんのこと、本当に好きじゃないんですか？』】

柴山ちゃんから突然電話がかかってきて1時間。
最初は何かあったのかと思ったけれど、逆に最近何かあったんですか？と聞かれてしまった。この間ふっかが、皆の前で私のことを話したって言ってたから、多分向井くんから聞いたんだろうな…

こういう時の柴山ちゃん、勘鋭いから下手に誤魔化してもすぐバレそうだし、向井くんから聞いてるならもういいかと出会いから昨日までの話をしたら、そう言われた。

【好きじゃないっていうか… 】
【嫌いじゃないというか、】

柴【『好きかどうかを聞いてるんですけど？』】

いつものふわふわした話し方は何処へやら、珍しく柴山ちゃんに詰められる。

柴山ちゃんが聞きたいのはそういう事じゃないって分かってるよ。だけどね、そこを明確にしてしまったら、私はもう後戻り出来なくなるの。

ふっかは気の許せる呑み友達。私は彼の友達のアキくんが好き。ふっかのことなんて最初は眼中になかったし、気持ちに気づいていたけど、答えられないからってあしらってた。本気になんてなるつもりなかった。それに、今更気持ちを明確にさせて告白しても、その関係に終わりが来るなら、今の関係のままでいたい。

恋人なんて、始まればいつか終わりがくる。
喧嘩してお互いの嫌なところが見えて別れて、もう会わない。
友達とは訳が違う。

いつか忘れ去られてしまうくらいなら、気軽に会えるこの関係性のまま…お互いがお互いを必要とするこの関係性のままでいたい。

柴【『要するに、踏み込むのが怖いんですね？』】
柴【『正直がっかりです』】

柴山ちゃんの言う通り。

私はふっかとの関係が崩れるのを怖がってる

あの時間が無くなってしまうのが

あの笑顔を向けてくれなくなるのが

もう会えなくなってしまうのが怖い

付き合ってハッピーエンドじゃないんだよ。
そのあとの行動次第で、全てを失ってしまう可能性だってある。

【だったら最初から気持ちに気づかないまま、】
【友達のままでいた方がお互い傷つかなくて済むじゃない】

柴【『本当にそうですか？』】
柴【『私には今、Aさんが傷ついてるように見えます』】
柴【『友達のままの今でも、お互い傷ついてるように見える』】

【そんなこと、】

柴【『本当のこと話してください』】
柴【『今この会話を聞いてるの私だけです』】
柴【『康二くんにも話しません』】
柴【『2人だけの秘密です』】