【紫】素直じゃない２人 (ページ37)

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８７杯目【過去編】ページ37

アキくんが2階に上がっていって、ふっかと二人きり。置かれている水の入ったグラスを両手で包み込んで、じーっと水面を見ていると、さっきの光景が浮び上がる。

深【あのさ、Aちゃん】

【可愛い子だったね】

喋り出すのと同時にそう言うと、間抜けな声を出すふっか。私が喋ると思ってなかったんだと思う。まだ何の事か分かってないみたい。

【さっきの子だよ】

ふっかの視線を感じながら、目を合わさず答えると、【そうだっけ…？】なんて、まるで興味ないとでもいうような返事。

なにその反応、あんなに引っ付いて満更でもなかったくせに…

【あーゆー子がタイプ？】

深【え？】

【 …ふっか、あーゆー子好きそう】

深【なんでそう思うの？】

【女の勘】

深【あー、ならその勘は大ハズレだわ】

【好きじゃないの？】

深【顔は好きだったけどね】
深【性格は合わないな】

【 ……知り合いの子なの？】

深【どう思う？】

【 …わかんない、】

深【街中で突然声掛けてきた知らない子だよ】

【ナンパってやつ？】

深【彼氏に振られて、慰めてくれる人探してたんだって】

【えっ】

合わせないようにしていた目を思わずふっかに向けた。
ふっかは、やっとこっち向いたとでも言わんばかりに嬉しそうな顔をして、お水をクイッと飲む。