８５杯目【 過去編 】 ページ35
ふっか遅いな…
今日は約束してたご飯の当日。
なのに、当の本人はまだ店に来ていない。
まぁ事前に遅れるかもしれないという話は聞いていたから、仕事が長引いてるんだろうなとは思ってるけど、遅すぎじゃないか？
もう約束の時間から30分。ふっかが来てから飲み物とご飯を頼もうと思っていたから、ここに来て私は何も頼まずただ居座ってるだけの客。お店は22時半閉店らしいし、他の入りたいお客さんにも申し訳ないので、店員さんに事情を話して店を出てきた。
どうしよっかな、ふっかから連絡が来るまでぶらぶらする？
でもこの時間だとほとんどの店は閉まってきちゃうよなぁ。
お店を出て、宛もなくぶらぶらと街中を歩くこと30分程。
チラッとスマホを見るとふっかから30分前に3件メッセージが来ていた。
“ ごめんAちゃん❗️”
“ いま終わった… ”
“ すぐ向かうから❗️”
タイミング悪かった…
私が店を出てからすぐのメッセージ。
30分前ってことは、ふっかもう着いてる？
“ ごめんふっか ”
“ お店の人に申し訳なかったから、出て来ちゃった ”
“ もうお店来ちゃってる？ ”
急いでそう送るも既読がつかない。
どうしよう、引き返した方がいい…？
でも入れ違いになるより、確実に場所聞いて落ち合った方が…
そう考える私の２メートル先には、若い女の子と一緒にいるふっか。腕を絡ませてる女の子の手にそっと自分の手を重ねてる。誰がどう見てもいい感じのその雰囲気。
そりゃそうだよね、ふっかも男の子だし、私なんかより若くて可愛い女の子と呑みたいよね。
私だけか、浮かれてたの。
アキくんの店じゃなくて、他のお店がいいって言われた時、ちょっと嬉しかったのに。今日のために服新調して、慣れないオシャレも頑張ったのに、色々考えてた私が…今日を楽しみにしてた私が馬鹿みたいじゃん、
なんだか悲しくなって、視界がぼやけ始めた瞬間、私の視線に気づいたふっかが驚いた顔で私を見る。
深【 Aちゃ、ん…… 】
ふっかに名前を呼ばれて、女のと目が合った瞬間、気まずくなってその場から逃げた。
【 ちょっと待って 】と叫ぶ声が聞こえた気がしたけど、そんなのも無視。走りながら、泣きたくなんてないのに、目から涙はこぼれ落ちる。こんなことになるなら店でずっと待っとけばよかった。
アキくん、、、そうだ、アキくんの店…っ
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作成日時：2023年6月4日 0時
