８４杯目【 過去編 】 ページ34
ふっかに知りたいと言われて、今まで話してこなかった私の話をほぼ包み隠さず全部話した。
学生時代の話も、仕事の話も、恋愛の話も全部。
こんな話、面白くないし話したくなかったけど、聞き上手なふっかにまんまと乗せられた。あと、お酒の力。
シラフで話すのはどうしても気が引けて、家の中にあった度数の高いお酒をお風呂上がりに呑んでいるから、今私の頭はふわふわしてる。
いつもなら隣にふっかが居たり、外だからと気を張っていてあんまり酔えないんだけど、今日は家だし、1人だし、ましてや昔話までしてるから、余計に酔いが回った。
あーあ、余計なこと話してないかな。頭は冷静なのに、お酒に酔ってる私は正常な判断が出来ていない。だめだ。これ以上ふっかと話すと、本当に余計なこと言っちゃいそう…
【 ふっか、もう…そろそろ眠たい、かも… 】
深【 『あら、まじで？ じゃあもう寝る？』 】
【 ん、そーする 】
【 大阪公演がんばってね？ 】
深【 『ん、ありがと』 】
深【 『Aちゃんもお仕事頑張って』 】
深【 『おやすみ』 】
【 あーい、おやすみぃ 】
ふっかとの電話を切って、スマホを持ちふらふらと寝室に向かう。
アキくんの話、嘘なんだろうなぁ…
女好きなら女性客に言い寄られて嫌な顔しないだろうし、何より…ふっかの声色が嘘だって言ってた。
サラッと嘘つくけどさ、そういう人を下げるような嘘ついたことないでしょ…声震えてたよ、
気付かないふりしてたけど、本当は全部気づいてるよ
ねえふっか、そんな嘘つかなくったって、私は……
………ううん、やっぱりなんでもない。
おやすみ、ふっか。
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作成日時：2023年6月4日 0時
