５４杯目 ページ4
「ふっか、泊まってく？」
カーテンから外を覗いて、まだ降り止む気配のない雨を見ながら、危機感皆無な質問をしてくるAちゃん。
俺だからって信用しすぎてない？一応男だよ？
なんて思うけど、彼女が思う通り、嫌われたくないからと我慢するのが俺。危機感皆無なのか、はたまた生殺し状態の俺を見て楽しんでいるのかは分からないけど、きっと俺よりタチ悪いのは事実で。
俺の事ちゃんと意識してる？って不安になるけど、「聞いてんの？」って聞いてくるAちゃんの耳は隠しきれてないくらい真っ赤で、今すぐ襲いたくなる衝動に駆られる。
立っている彼女の腕をグイッと引っ張ると、想像通りバランスを崩して俺の胸に倒れ込んでくるのを抱きとめ、簡単に逃げられないよう抱きしめる腕に力を入れた。
「ちょ、と、なに…」
深「まじ、押し倒さなかっただけ褒めて、」
「ふっか、？」
深「Aちゃんさ、」
深「待つって言ったけどあんな可愛い反応されちゃ、俺どうにかなりそう、」
「えっ…」
深「泊まるとか、そういうの」
深「俺も一応男だし…危機感は持ってて、」
「は、はい」
深「……どうしよ」
「今度は何、」
深「俺多分、暴走してる、」
「……しってる、」
深「Aちゃんが意識してくれたことに舞い上がってる」
深「ごめん、付き合ってないのにこんなのして欲しくないよね」
「……」
深「でも、これからもすると思う」
深「だから、ぎゅうだけ許して…」
「…いいよ」
「ぎゅうだけね、」
深「ほんと？」
「別に、嫌じゃないから…」
深「…触れてもいいの？」
「…変なとこ触ったら、嫌いになる」
深「例えば？笑」
「分かってるでしょ？」
深「えぇ、わかんないかなぁ」
「……胸、とか…そういうとこ、」
ギリ聞こえるくらいの小さい声で言っては、恥ずかしそうにしてるAちゃんが可愛くて、意地悪したくなる。
丁度近くにある、リンゴみたいに真っ赤に染った耳。
それをパクッと口で咥えると、聞いたことない色っぽい声を出されて慌てて体ごと離す。
やばい、これ以上はAちゃんに嫌われかねない上に、俺の理性が持たない。
深「ごめんね？ 俺もう帰るから、」
「え…泊まってかないの？」
深「へ？」
「雨すごいし、泊まっ＿＿」
深「あのさ、俺今やばいから泊まっちゃうとマジで襲うよ？」
「…うん、」
いいよ、そう言われる直前でAちゃんの口を塞いだ
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作成日時：2023年6月4日 0時
