８０杯目【 過去編 】 ページ30
寺【 そんじゃ、俺こっちだからまたね〜 】
【 はい、ご馳走様でしたっ 】
寺島さんと分かれて、次の収録場所に向かう途中。
“ Aちゃん！ ”
“ どうしよう、ふっかが居なくなっちゃった… ”
信号待ちでたまたまスマホを開くと、バナー表示で照くんから2件メッセージが届いた。
ふっかが居なくなった？どういうこと？
理解が追いつかなくて、照くんのメッセージに既読を付けすぐ返信する。
“ ふっかが居なくなったって？ ”
“ 何があったの？ ”
“ あの、ちょっとふっかと喧嘩して ”
“ カッとなって俺が先にリハ室出ちゃったんだけど ”
“ 頭冷やして戻ってきたら、ふっか居なくて ”
“ 手分けして探したんだけど、どこにもいなくて ”
“ 一応連絡も入れてみたんだけど… ”
“ 連絡つかないの？ ”
“ うん… ”
“ 多分俺らじゃダメだと思って、”
“ Aちゃんからも連絡してみて欲しくて、”
“ ほんとごめん、こんなこと… ”
“ 全然いいよ ”
“ 私からも連絡してみるね ”
照くんとやりとりしてる最中に収録場所のビルに着き、人に聞かれるのも問題かと思ってあまり人気のない場所へ移動してから、1週間連絡を取ってなかったふっかに電話をかけた。
ワンコール、ツーコール……
深【『も、もしもし？』】
出た…っ
【 もしもしふっか！？今どこ居んの！ 】
深【 『え、どこって…屋上、？』】
【 ！ なんだぁ、まだビルの中にいるんじゃん… 】
ふっかの言葉に安堵して、その場にしゃがみ込む。
深【 『え…？』 】
深【 『ねえ、どういう…』 】
【 さっき照くんから連絡きたの 】
【 2人、けんかしたんだって？ 】
深【 『なんで、それ…』 】
深【 『いや、そもそもなんで照の連絡先知ってんの？』 】
【 ほら、昔はよくふっかが先に潰れてたでしょ？ 】
【 その時に、タイミング良くふっかの電話にかけてきたのが照くんで、私が助け求めたことが始まり 】
深【 『え、知らなかったんだけど』 】
【 そりゃ言ってないもん 】
【 言う必要性なかったし 】
深【 『ほんと自分のことになると教えてくんないよね、』 】
【 もぉ私の事はいいから。照くんたち心配してたよ？ 】
【 何が理由で喧嘩したのか知らないけど 】
【 ちゃんと話し合った方がいいよ 】
【 ツアーも近いんでしょ？ 】
【 ふっかだって、仲直りしたいんじゃないの？ 】
深【 『それは、……うん、』 】
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作成日時：2023年6月4日 0時
