【紫】素直じゃない２人 (ページ24)

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７４杯目【過去編】ページ24

いつものBAR。扉が開いて帽子を被って眼鏡をかけ黒マスクをしている男の人画入ってきたかと思えば、迷いなく私の方向に歩いてきて、隣の席に手をかける。

深【ごめん、待った？】

昔と変わらないその声と猫背具合で、誰かなんてすぐわかった。

でも、こういう時【待ってないよ】って可愛らしく言えればモテるんだろうけど、彼を目の前にして私がそんなこと言えるはずもなく。

【遅い】

と3文字。本当に可愛げのない返し。
でも、こんな態度アキくん相手には出来ない。
だからこれは、私がふっかに心を開いてる証拠。

その事にふっかも気づいているのか、少し嬉しそうな顔をして、隣の席に腰かけては【これでも急いだ方よ？】なんて言ってくる。

【ふーん？】

深【なんだよ笑】

【べつにー】

深【せっかく頑張って巻いてきたのに】
深【俺もう帰ろっかなぁ】

【 ……帰っちゃうの？】

深【っ…帰んない、】

顔を少し赤らめて言うふっか。私が慌てて謝るだろうと考えての発言だったんだろうけど、甘いなぁ。他の子なら引っ掛かったんだろうけど、ふっかが帰らないってわかってる私にその手は通用しないよ。

自分で言うのもなんだけど、ふっかの扱いは割とわかってる方だからね。