６８杯目【 過去編 】 ページ18
あの日から、宣言通りふっかはBARによく来るようになった。入ってきて私を見つけては、一目散に駆け寄ってきて、隣の席に座る彼。
深【 早いね？ 】
【 ふっかが遅いんだよ笑 】
深【 仕事長引いちゃって、ごめんね？ 】
【 ん、いいよ。だいじょーぶ。 】
別に約束してた訳でもないし、遅れてきたって問題ない。ましてや彼はまだJrとは言えジャニーズで。しかもアキくん曰く超忙しいらしいから、約束なんてしたって無駄なのは100も承知。なのに、【 Aちゃんに会いに来るって約束したから 】って、名前聞くための嘘だと思ってた。忙しいなら家でゆっくり休めばいいのに、そうやって律儀に約束守るんだもんね。そりゃモテるよ。
深【 ん、なに？ 】
【 ううん、なんでもない 】
深【 そう？ 】
深【 てかAちゃん、またそれ呑んでるじゃん 】
【 いいでしょー、好きなんだもん 】
深【 そんなに美味しいの？ 】
深【 なんてやつ？ 】
【 ブランデー･フリップ 】
深【 ぶらんでーふりっぷ？ 】
【 呑んでみる？笑 】
【 一口ならあげるよ？】
揶揄うような口振りでグラスを前に置けば、【 いいの？間接キスになっちゃうけど 】と頬杖を付く彼。
突然の男らしい顔つきに心臓が跳ね上がった。
自分の顔が赤いことなんて嫌でもわかるくらい熱い。
深【 Aちゃん、？ 】
【 っ、見、ないで… 】
彼に名前を呼ばれて目が合うと、感じたことないくらいのドキドキが襲ってきて、頭がパンクしそう。
せめてもの抵抗で、両手で顔を隠してそっぽを向く。
だけど隣の彼は、そんな私を揶揄うような声で【 照れてんの？ 】と聞いてくる。
【 ち、ちがう…っ 】
そう否定してるのに、【 でも… 】と続けるふっか。
最初は私が揶揄うつもりだったのに、なんで…
深【 顔真っ赤じゃん…笑 】
深【 耳まで赤くしちゃって、】
【 お、お酒のせい、だから… 】
深【 ふは、かぁいい笑】
いつもと違う立場。形勢逆転とはまさにこの事。
ふっかは楽しそうに普段とは違う私を揶揄う。
【 もぉ、ふっかきらい、】
深【 なぁんでよ笑 】
【 いじめるもん、】
深【 えぇ、】
深【 だってタジタジなAちゃんかあいいから 】
【 かわいい連呼しないで、】
深【 なんで？笑 】
【 言われ慣れてないのっ 】
深【 そうなの？ 】
深【 じゃあ、これからいっぱい言うね？ 】
【 も、勘弁して、、っ 】
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作成日時：2023年6月4日 0時
