６３杯目 ページ13
深「あのー、おねーさん？」
「なに？」
深「俺、ソファで寝るって言わんかった？笑」
「……腰痛めるから、」
深「気持ちはうれしーけどさぁ？」
お風呂から上がってAちゃんの元へ行くと、寝室で何やら準備してる様子。何してんのかなぁって覗けばベッド脇のスペースに布団を敷いてる。
俺ソファで寝るって言ったのに…笑
深「んま、いっか」
「ふっかベッドね」
深「いや、なんで？笑」
深「俺こっちがいい」
「だめ」
深「なんで？」
「なんでも」
「いいからベッドで寝てください」
深「えぇ…」
頑なに俺をベッドで寝させたがるAちゃん。
触れられないのに、Aちゃんの匂いに包まれて寝るってどんな拷問？しかも当の本人は下に布団敷いて寝るんでしょ？近くにいて、触れないってさぁ。
深「だいぶきついかも」
「なにが」
深「なんでもぉ？」
深「んじゃ俺ベッドで寝んね？」
「うん」
ごそごそとベッドに入って上から布団に潜ってるAちゃんを見るとバチッと目が合って、「寝心地どお？」なんて、いいに決まってんじゃん。
深「……Aちゃんの匂いする」
「そりゃいつも使ってるからね」
深「寝れるかなぁ、おれ」
「…私の事で頭いっぱいになって寝不足になればいい」
深「へ…？」
「なんでもない」
「おやすみ、ふっか」
深「いや、ちょっ」
俺の方に背を向けて電気を消され、目の前が真っ暗に。
え？なに、いまの。なんて言った？？
そんな爆弾落としといて寝るマジ？？
なんなのほんと、ずるいじゃん
もう十分頭の中Aちゃんでいっぱいなんだけど？
え、まってまさかそれ目的で俺をベッドで寝させた？
深「ねえ、」
暗い部屋の中言葉を投げかけるけど、聞こえてきたのはすやすやと眠るAちゃんの寝息。この状況の中よく寝れるなと思いつつ、さっきの言葉が頭をぐるぐるして、結局Aちゃんの言う通り寝不足で朝を迎えた。
深「…じゃあ、またね？Aちゃん」
お互い仕事に行く時間。一緒に家を出てそう言えば、「ん、仕事頑張ってね」って手を振ってくれる。
これから1ヶ月Aちゃんと会えないし連絡も取らない。
自分で言っといてなんだけど、耐えれるかなぁ…
でもお互いのためだから、
深「Aちゃんも仕事頑張って」
2人揃って背を向けて別々の方向に歩き出す。
きっと長いようで短い1ヶ月。Aちゃんも俺のことで頭いっぱいになって寝不足になっちゃえ…
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作成日時：2023年6月4日 0時
