５２杯目 ページ2
マネージャーに事情を説明して、Aちゃんの家まで向かってもらい、その間電話は繋げたまま。泣きそうなAちゃんの気持ちを紛らわせるため、今日あったことを話すんだけど、停電だからちょっとした物音でも怖いらしくて、俺もソワソワしてたら隣に座ってた佐久間に「お前は落ち着けよ笑」と言われた。
ラーメン屋から十数分車を走らせて、Aちゃんが住んでるマンションの下に車を泊めてもらったあと、マネージャーと佐久間に感謝して急いでAちゃんの所に。
深「Aちゃん、ドアの前まで来たけど、鍵空けれる？」
深「うん、気をつけてね、大丈夫だから…」
そう言ってから5分後くらい、ようやっとドアの前に来れたのか、ガチャと鍵の開く音がした後、扉がゆっくりと開き、部屋着で髪の毛束ねてて、めちゃくちゃ涙目のAちゃんが顔を覗かせた。
深「Aちゃん、」
「ふ、か…ぁっ」
俺の顔みて安心したのか、ポロポロ涙を零してはぎゅうって抱きついてくる。取り敢えず中に入ろうと抱きつかれたまま玄関に入ると真っ暗な家の中。
下手に動くと何か落としそうだからと、ドアの鍵を閉めたあと、Aちゃんが落ち着くまでその場にいることにした。
深「……」
「ふか、」
深「ん？」
「ぎゅうってして、」
深「……触れちゃうことになるけど、？笑」
「今は、いいの、」
「緊急事態だから…触れて、」
深「嫌いになんない？」
「ん、」
深「……これでい？」
「……もう少し、」
弱ってるAちゃんの可愛いわがまま。今でも十分な気がするけど、もう少し力を込めてさっきよりも体を密着させれば、俺の背中に回る手もぎゅうって力が込められる。
深「…苦しくない？」
「ん、」
深「……Aちゃんいい匂いする、」
「っ、嗅ぐな、」
深「お風呂入った？」
「入ったけど、」
深「いい匂い」
「だから、」
深「俺この匂い好き」
「…あっそ、」
深「……ドキドキしてんの、Aちゃん？」
「ふっかでしょ、」
深「おれぇ、？」
「…ね、」
深「はぁい」
「来てくれてありがと、」
深「んは、どーいたしまして笑」
パチッ
深「うわ、眩しっ、」
「ん、付いた、？」
深「うん、復旧したっぽい」
「よかった…」
深「良かったねぇ」
「……」
深「……」
「……ね、あの、」
深「んー？」
「も、大丈夫、離して…」
深「えー、やだ」
深「もうちょっとだけ。ね？」
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作成日時：2023年6月4日 0時
