ep.54 ページ4
「ちゃんと後ろ向いててよ?」
深「向いてる向いてる」
現場に着く少し前。マネージャーにお願いして監督に連絡をとってもらい、急遽俺とAの控え室を同じにしてもらって、今Aが役の衣装に着替えているところ。
スタイリストさんはちょっとよばれて今は離席中。
俺は外で待ってるって言ったのに、申し訳ないからってAが着替えてる間、背を向けて待つことになったんだけど、なんかえろいんだよなぁ、これ…笑
服脱いでる音っていうか、後ろで脱いでんだなぁって思ったら、ちょっとね…?なんかじゃん?
「……ねえ、変なこと考えてるでしょ」
深「え。なんでわかったの笑」
「辰哉の考えそうなことだもん」
深「おおい!どういう意味だよ!振り向くぞ!笑」
「ヤダヤダやめて笑」
笑いながら全力拒否するA。
いや、そんな否定することなくない?笑
深「着替え終わったあー?」
「まーだ」
深「えー、おそくない〜?」
「遅くないよ!笑」
深「ねー、」
「んー?」
深「ドラマ撮影いけっかな」
「行ける行ける、辰哉はできちゃう人じゃん」
深「まぁそれもそっか」
「切り替え早いな笑」
深「…ねーA?」
「今度はなに?」
深「好きだよ」
「あー……え?」
深「ん?」
「……………………ちょっと、不意に言わないで、」
急に想いを伝えたくなって「好きだよ」なんて普段言わないことを言えば、戸惑った声が返ってきて、絶対照れてんだろうなってすぐ分かる。
やっぱこないだの雑誌から脈アリっぽいんだよなぁ…俺の思い違いじゃなかったら、撮影期間中にいけそうなんだけど。
「着替え終わったよ」
深「ん、振り向いてい?」
「…いや、だめ…」
深「なんでだよ笑」
「ちょっと、どんな顔して辰哉を見ればいいかわかんない、」
あーだめだわ。何その理由かわいすぎ。絶対今じゃなかったのに、抑えきれなかったせいで自爆してる。
深「………って、A顔真っ赤じゃん、笑」
「っ、見ないでよ」
深「えーむり」
「むり!?」
深「俺のこと意識してんのかあいいわぁ…」
「意識なんてしてないもん、」
深「ん〜?じゃあ目見てよ」
「は、むり!」
深「見れないならそういうことだって受け取るよ?笑」
「っ〜、ずるい!」
深「なんもずるくない笑」
どっちかと言えば、ずるいのはAでしょ。
無意識でドキドキさせてくる方がよっぽどずるい。
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作成日時:2023年9月6日 19時