ep.53 ページ3
それから他愛もない話をしながらスマホで会話して、盗聴器が仕掛けられてそうなところを探してみれば、案の定。
夜遅くだから申し訳なかったけど、管理人さんにも事情を説明して、監視カメラを見させてもらうと、知るはずもないのにAのマネージャーがマンションを出入りしている姿が映し出されていて、完全に黒だと判断。
とりあえず警察にも連絡しないとだけど、そういうのは明日にまわして、昨日は何かあると危ないからって俺がAの家に泊まることにした。
そして翌朝。こっちのマネージャーに事情を軽く説明して、予定時間より早く迎えの車を出してもらって、とりあえず3日分くらいの荷物と一緒にAを連れ出し、怪しまれないように俺の家に避難。
Aは申し訳なさそうにしてたけど、こっちの方がセキュリティ万全だし、盗聴される恐れもない。強いて言うなら、文春に撮られたりする可能性が高いってくらい。
まぁその時はちゃんと説明すればいいし、もし万が一俺とAの関係性を疑われても否定するつもりはない。本気で好きなのは事実だし、好きな子が困ってるのに見て見ぬふりは俺には出来ない。てか、そんな深澤辰哉、みんなも見たくないでしょ。
今日は朝からドラマの撮影だから、そのまま荷物を置いたら俺と一緒にマネージャーの車で現場まで直行する予定。
向かってる間、Aには前のマネージャーさんと事務所に事情を説明してもらって、早急な対応をお願いした。
「はい、わかりました。はい、お願いします。」
深「……事務所さん、なんだって？」
「早急に対応するけど、新しいマネージャーも探さないとだから少し時間が必要…って」
深「うーん…でも今日会うんだよな？」
「うん、多分もう現場にいると思う…」
「私自分の車あるし、お迎えとかは頼まないから、」
深「そっか。…A、今日はなるべく俺から離れないで？監督にも事情話して、俺とA一緒の控え室にしてもらおう」
「えっ！？ 同じ控え室って…」
深「だって、危ないじゃん。 俺Aに何かあったらやだよ？」
「それは、私も嫌だけど…でも、同じ控え室は、さ……」
深「ん？」
「…衣装着替える時とか、恥ずかしいじゃん、」
Aの言葉にハッとする。確かに同じ控え室ってことは、着替えとかも一緒ってことじゃん。…え、でも別々はさすがに心配すぎるし、
深「……Aが着替える時は俺ドアの外いる。それなら…いいでしょ？」
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作成日時：2023年9月6日 19時
