ep.66 ページ16
ー中学時代ー
深『……もしもぉーし？』
深『なぁに、電話してくるとか久しぶりじゃん』
ツーコール目で繋がり、辰哉の柔らかい声が耳に届く。
なんでこんなにも安心する声してるの…
深『ん？もしもし〜？A？』
「っ、……け、て」
深『うん？ ごめん、なんて？』
「た、たすけて…っ！！」
深『！？ 今どこ？なにがあった？』
「お風呂場、ていでん、して、……真っ暗で、怖くて、っ」
深『おばさん達は？』
「きょう、結婚記念日だから…さっき、旅行にでかけて、」
深『分かった。すぐ行く。下手に動いたら危ないから、そのまま動かないで』
「ぁ、たつ……電話、」
深『分かってる。ちゃんとこのまま繋いどく。大丈夫だから。』
「っ…ありがと、」
辰哉が来るまで10分程。その間ずっと電話を繋いでてくれて、それだけでさっきまで怖かったのに心が落ち着いてくる。
みなまで言ってないのに『このまま繋いどく』って言ってくれたのが嬉しくて、何も言わなくても通じる感じが懐かしくなった。
それから＿＿＿
深「A、？」
「…！ たつやぁ〜！」
深「ごめん、勝手に植木鉢下の合鍵借りた」
「全然、辰哉ならだいじょうぶ、」
「っ…きてくれてありがとう、、」
深「んーん。 ちょっとブレーカー見てくんね」
「あ、待って…行っちゃヤダ、、」
深「いや、でも一緒には行けないじゃん、笑」
深「大丈夫。すぐ戻ってくるから。リビングだよな？」
「……うん、」
深「はぁ。 ……A、電話かけてきて」
「え？ ……あ、 うん！」
すりガラス越しにいる辰哉に再び電話をかける。
深『この状態で行くから、一旦ここ離れるぞ？』
「ん、ありがとう…」
そう言ってブレーカーを探しに行く辰哉と会話をしていると、パッとお風呂場の電気が復旧した。
「わ、ついた！」
深『ついた？』
「うん！！ありがとう、辰哉」
深『いーえ。お風呂出てきな。』
「うんっ！」
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作成日時：2023年9月6日 19時
