ep.64 ページ14
警察病院での検査を終えたあと、交代で事情聴取を受けて家に帰ってきたのは22時頃。今朝3日分の着替えとかを俺の家に持ってきていたから、Aも連れて一緒に帰ってきた。
「……ごめんね、たつや、迷惑ばっかり…」
深「いーよ。俺が心配なだけだし。」
「……」
深「あ、それとも1人の方がよかった？」
「ううん、辰哉がいた方が、安心する…」
深「そ？ あ、先お風呂入ってきていいよぉ」
「いいの…？」
深「うん。 触られたりしたとこ、洗い流してきな？」
「ん…じゃあ、そうする、」
そう言ってトコトコとお風呂場に向かうA。
照たちがいた時は笑っていたけど、さっきの事情聴取で事細かに聞かれたらしく、戻ってきた時にはまた笑顔が無くなっていた。
深「……あ、タオル、」
Aがお風呂に入って行く音がして十数分後。そういえば…とバスタオルを3段ボックスから1つ取り出して、脱衣所に足を運ぶ。
深「Aー」
「えっ、たつや？」
深「バスタオル、ここ置いとくからね」
「あ、うん…ありがと、」
深「はぁーい」
バスタオルを置いて、その場から離れようと引き戸に手をかけると「まって！」というAの声が耳に届く。
振り返ると、キュッという音と共に水音が止まり、すりガラスにうつるシルエットが色っぽくてドキドキした。
え、なにこの展開。漫画とかにあるやつじゃん。
深「ん、どしたぁ？」
「あの、、その…ひとり、こわくて…」
深「うん？」
「……このまま、話し相手になって欲しい、」
深「えっ、」
このままって…え？このまま？？
「だめ、？」
深「や……だめっていうか、だめじゃないっていうか、、？」
「どっちなの、笑」
深「ん、いいよ。話そ？」
「ほんと？ 嬉しい…」
「ちょっと湯船浸かりながら話すね？」
深「へっ、あ、うん！？」
シルエットが移動したあと、すぐ湯船に浸かる音が聞こえてきて、さっきよりもどんどん心音が速くなる。
まじでなんなのこの展開…心臓やばいんだけど、？
「あー、きもちい…」
深「湯加減大丈夫？」
「ん、ちょうどいいよ」
深「ならよかった」
お風呂場に背を向けて床に座り、Aと会話をする。
あー、っと。何話そ。
「……なんか、辰哉とこうしてお風呂場越しに話すの久しぶり」
深「ん？ ……あぁ、そういや中学の時もあったね。」
「そうそう。確か、私がお風呂入ってたら停電して…」
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作成日時：2023年9月6日 19時
