ep.62 ページ12
阿「てか、俺らに声かけるより、先に声掛けなきゃいけない人がいるでしょ?笑」
阿部ちゃんが諭すようにそう言って、「康二、こっちおいで」と優しく手を伸ばす。
その間、佐久間に「ほら行けよ笑」と俺は背中を押され、婦警さんに事情を聞かれていたAのそばに近寄った。
「はい、お願いします…」
深「……A、」
「…! たつ、や……っ、」
優しく声をかけると、不安そうな顔で俺を見て、目にいっぱい涙を浮かべたAが今度は抱きついてくる。
その光景をみた婦警さんが、空気を読んで離れていき、俺はAを宥めるように背中に手を回した。
俺の腕の中で泣きじゃくるAは子供みたいで、少し震えているその体からすごく怖かったんだと伝わってくる度、胸が苦しくなる。
きっと今日のことは、Aの中に深く刻まれるんだろうな。男の人に襲われ、殺されかけたなんて、一生をかけても忘れられないトラウマ。
物理的に守れたとはいえ、Aの心が傷ついたことには変わりなくて、尚更一瞬でも目を離した自分が憎い。
深「ごめん…ごめんね、A…」
「たつ…っ、、たっ、、」
深「怖かったよね、ごめんね…」
深「見つけるのが遅くなって、目を離してごめん、」
ただ謝ることしか出来なくて、なのに俺が謝る度に頭を横に振ってぎゅうっと抱きしめてくるA。
こんな状況でも可愛いなぁって思っちゃう俺はきっとどうかしてる。
深「……とりあえず、マンションから出よっか」
「ん、」
Aが少し落ち着いてきたのをみて、そう言葉にすると俺から離れてコクリと頷く。
そして、俺の後ろにいるメンバー見て顔を赤らめ、さっきまでの行動を思い出してんだろうなってすぐに分かった。
まぁどうせ皆がニヤニヤしてんでしょ。
深「………あれ?そういえば下から俺の名前叫んだのって…」
?「それ俺ね。」
そういえば、と気になって言葉に出せば、いつから居たのか、阿部の後ろからひょっこりと顔を出す照の姿。
びっくりして目を見開くと「何驚いてんの?笑」と笑われた。
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作成日時:2023年9月6日 19時