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先生が出席を取っていく中、私の頭の中はずっと深澤くんの言葉でグルグルしている。
ねぇ深澤くん…なんで知ってるの？
だって、私は深澤くんと今まで話したことなかった。
だから彼のことは、ただ男女共に人気でモテモテで、器用で、いじられキャラで、よく授業サボってて、珍しく教室にいると思ったら寝てて、いつも寝癖がついてて猫背で、なのにスポーツは得意で…かっこよくて、華奢に見えて程よく筋肉がついてて、肌は綺麗で白くて、笑顔がかわいいっていう、みんなが知っていることしか知らない。
それ比べて私のことは、きっと誰も知らない。
席のことも本のことも、言われたのは深澤くんが初めて。
名前だって、
「みどりかわー、いるかー？」
「………ぁ、えっと…、」
「……せんせー、それ読み方すいかわじゃない？」
「え？……あ、ほんとだ。 悪い、翠川！」
「ぁ、いえ…」
「自分のクラスなんだから、そろそろ名前覚えろよな〜」
先生に聞こえないくらいの声量で、深澤くんが放った言葉。
彼にとっては、なんてことない事なんだろうけど嬉しかった。
いつも読み方を間違えられてばっかりで、私の名前なんて知ってる人いないって思ってたのに…、
「ね？ 翠川さん」
「………うん…」
深澤くんだけは、最初から私の名前を間違えずに呼んでくれた。
それだけで嬉しいなんて、今まではそんなこと無かったのに…
どうやら昨日今日で私は、深澤くんの沼に堕ちてしまったらしい。
だって＿＿＿
「……ん？」
「…！」
ちょっと目が合っただけで、こんなにも鼓動が速くなるのだから…
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作成日時：2022年11月16日 1時
