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次の日の朝。いつも通り特に代わり映えのない、窓際にある最後列の椅子に座ると、眠そうな目を擦りながら教室に入ってくる深澤くんの姿と、おはよぉ〜なんてふわふわした声が目と耳に届く。
ギリギリまで寝ていたのか、また少し髪の毛が跳ねている深澤くん。少し可愛いなと思ってしまうのはなんでだろう。
昨日と同じように目で深澤くんを追っていくと、ひらひら手を振り、ふわふわした声でみんなに挨拶を返していく彼。
そんな彼が行き着く先は、私の隣の席で＿＿＿
「翠川さん、おはよぉ〜」
「え、あ…おはよう、ございます…」
「んは、なんで敬語なの〜？笑」
そう言って笑う深澤くんに、ひとつ胸が鳴る。
語尾を伸ばしがちで、舌っ足らずな話し方。
セットされずに少しだけ寝癖がついている髪の毛。
まだ眠たいのか目を擦りながら大きい欠伸をする仕草。
そして、その優しい眼差し…
「……ねー、翠川さん俺の事見すぎじゃない？笑」
「え…っ」
「あれ、もしかして気づいてなかった感じ？笑」
「……自覚はあった、けど…」
「自覚はあるんだ？笑」
今まで1度も話したこと無かったのに、なんでたまたま昨日隣の席になっただけで、こんな普通に話せてるんだろ…
「ん？なぁに？」
「………なんでもない、」
「んはは、なんでもないかぁ笑」
何が面白いのか、私の言葉に笑いながらこっちを見て頬杖をつき、ニヤニヤしている深澤くん。
なにその顔、きっと他の女子たちが見たら一発で落ちるよ
てか、なんで私こんな深澤くんに絡まれてるんだ…
私はこの席で、安心安全安定のAAAが欲しいの。
一軍にいる深澤くんと話してるところをこれ以上見られたら、この先何があるかわかんないじゃん。
「………深澤くん。」
「ん〜？」
「私本読むから、話しかけでね」
「えぇ〜」
これでいい。深澤くんとは関わらない。これが一番。
「………ねーねー、何読んでんの〜？」
(私の話聞いてたかこの人…)
「俺文字ダメなんだよねぇ、いっぱい字書いてるの。見てると頭痛くなっちゃう笑」
(あぁ、ぽいなぁ…)
「こないだの読書の時間もさぁ、読まずに寝てたら怒られちゃって。さすがに次読まなかった反省文書かされそーなんだよねぇ〜」
(自業自得じゃん、)
「だからさ、俺でも読めそうな本とか知ってたら教えて欲しい！翠川さんいつも本読んでるからいっぱい知ってそうだし！」
(えっ…)
なんで、知ってるの…？
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作成日時：2022年11月16日 1時
