未題 (ページ35)

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side 3

Aはいつから、あんなに綺麗になっていたんだろう。

Aはいつから、あんなに強くなっていたんだろう。

Aは、いつから。

……ずっと、分からなかった。

一度だけ、本当に、一度だけ。

・

・

・

俺は、Aにキスしようとした。

……本当に、自然に。考えるより先に動いていた。

それを止めたのは、Aだった。

「えっ、ちょ、え、」

……動揺していたA、それでも自制心を保ったA。

俺の方が年上なのに、Aの方がずっと大人だった。

「……ダメです、安達さん」

Aは絶対に傷ついていたのに。

俺が、奥さんがいるからダメ、Aのことは好きじゃないと伝えるべきだったのに。

そんなことすら出来ずにAを弄ぶようなことをした。

……オリックスに来たばかりの頃のAはすごく幼くて、可愛らしくて、なんだか目が離せなくて。

そんなAが今は、1人でなんでもこなして、1人で何人もの選手の体調や身体の管理をしてる。

どんどん、大人になっている。

じゃあ、俺は？

俺はあの頃から何も変わってなくて、ただ年を重ねただけ。

……こんなんじゃ、ダメなんだよ。

俺は、Aに、何もしてあげられなかった。