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｢…松村が女子と話してるのちょっと珍しくない？｣
｢まあ見かけないよね｣
私は委員会が同じなだけだし。
松村くんはいつも1人か、たまに�眞呂�んと隣のクラスの人達といる所を見かけるくらい。
高校一年生にしては落ち着いていて、ちょっと浮いている。この教室だって、男子が何かしら馬鹿なことをやって騒いでいる。
｢A委員会どんな感じなの？怖くない？｣
｢まあ最初はそりゃ怖いけど…話したら普通に話せるし｣
言葉選びもユニークで面白い。
変にうるさくないからクラスの男子よりよっぽど松村くんの方が私にとっては怖くないのだけれど。
まあそんなことを話してもな。
綾音はそれ以上松村くんのことについては聞いて来ず、昨日の音楽番組の話や推しの話をし出したのでそれに付き合った。
ホームルームが終わってから、松村くんはすぐ教室を出た。
私は荷物をまとめて、のんびり職員室に向かう。
軽くノックをして、ドアを開けると生ぬるい職員室の空気がなだれ込んでくる。
「…図書委員Aです、失礼しまーす」
忙しなく動き回る先生の群れの中に誰に言うでもなくボソッと呟くと、ちょうど通りかかった委員会の先生が私に気がついた。
「お、きたきた。…あれ、松村は？」
よれよれのネクタイがなんだか気になる。
「なんか遅れるって言ってましたよ」
ぶすっと言うと、先生は顔に出すぎ、と笑いながら突っ込まれた。
先生の後を着いていくと、机の隣にはダンボールがでんと置いてあった。
「じゃあ大変だろうけど、これ。運んでね」
ばんっ、とそれを叩いて私に言う。
いやいや、え？
かなり重い。
「なにが入ってるんですか…重…」
重さに耐えかねた声で聞く。
「えー、新刊だよ。」
ガシッとダンボールを持ったまま、足で職員室のドアを開けて出る。ドアくらい開けてくださいよ、と心の中で文句を言いながら職員室を後にした。
「…重」
なんで今日に限って遅くなるんだ。
図書室は3階だから、あと2回階段を登らないといけない。エレベーターもあるけど基本的に生徒は利用禁止だし。なんのためのエレベーターなんだよ。
とか愚痴を心の中で零しながら階段を登ろうとすると、どすんっと誰かにぶつかった。
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作者名：春野 | 作成日時：2021年12月10日 21時
