図書委員の松村くん (ページ15)

今日:9 hit、昨日:12 hit、合計:133,371 hit

15 ページ15

「…」

読み終わったAさんオススメの本をもう1回パラパラ捲る。

本当に面白かったから別の作品も読んでみようかと考えてると、どんっと背中を叩かれた。

｢うぃ……えーまた本？飽きないよねホント」

振り返らなくても分かるから、そのまま前を向いて話を続ける。

「これはAさんのオススメ」

「Aさん？あーーーAさんか。羨ましいなお前」

「羨ましい？」

「Aさんと話せるとかレアじゃん」

「…まぁ、面白い人だよ」

「え！Aさん面白い子なの！！？めっちゃクールそうじゃん！」

ある意味面白い子だよ、とテキトーに返す。

Aさんは隠れ人気だった。

あまり人を寄せつけないような雰囲気が、なんだか他の女子と違っていいんだとか。

窓際の席で友達と話してるAさんは相変わらず無表情に近い。
…クールというか意外と話してる時は笑ってることが多い気がするけど。

口も意外と悪い。

「なぁーるほど、北斗タイプの子なんだな。」

「…何それ？」

「見た目はクールで冷たそうだけど中身は意外と明るい」

「意外とって、なに、ディスってる？」

「ディスってねぇよ」

結構髙地が大声で話すから、Aさんと目が合った。

「…ふ」

呆れたように肩をすくめてみた俺を見て、柔らかく笑っている。不覚にも可愛らしいと思ってしまった。

「北斗？」

「今Aさんがお前のこと呆れた目で見てたよ」

「嘘！？」

「うん、嘘」