2神はいたが居なかった。 ページ4
*
「――、―ぃ――おい、おい!!!」
二日酔いみたいにガンガンする頭に、
精一杯の怒鳴り声。
『今度は、なに?』
さっきまでフラフラしていた体に重みができて、
立とうとしても、思う様に立ち上がれなかった。
「何、はこちらの台詞だ。いつの間にかソファに座っていたと思えば、爆睡している不審者に"なにか用か"と言われるのは驚きだな」
「国木田君。困ってるじゃないか。
とりあえず名前を吐かせよう」
目の前に立ちふさがる二人のうち、メガネの男。
ことに"国木田"と呼ばれた男が、「名前は」と簡潔に言い放つ。
『名前。名前ねえ・・』
ぐるりとあたりを見回して、
見たところ、
元いた世界と変わらない
オフィスの一角の様だ。
『A。名字はない。
ところで国木田クン、俺は名乗ったんだ。君たちの名前も是非とも知りたいな』
「名乗る名前など―――」
「太宰治だよー。で、こっちが助手の国木田くん」
「誰が助手だ!!!誰が!!」
手足は――縛られていないか。
"不審者"になんの処置もしないなんて
日本って言うのは平和ボケした国って、
ほんとだったんだ。
『いやあ、本当うっかり侵入しちゃってごめんなさい。この通り何もとってないんで、
今回だけ見逃してくれませんかね』
「それは無理だね。
A君・・だったかな。
私たちは甘さこそあれ、無能ではないのだから」
優しく諭されるような言葉の裏に、
縄よりも強い重圧を感じる。
『無能だなんて一言も』
「無理なんだよ。そもそも君が
『ご自身を買いかぶりすぎでは?』
「そうだね。確かに私一人では全ての人間を見過ごさないとは言えない。けれども、探偵社の人間がこの場に5人もいて、君の侵入を、君が寝返りを打つまで気づかなかったなんて、"普通の人間"のできる事じゃない」
――――――君は、誰かな。
確信にも近い言葉が、
心の奥まで見透かすように覗いてくる。
言い訳をしようにも
信じてもらえるわけは無し。
かと言って誤魔化しは効かないだろう。
『さて、困った』
・・・ああ。
寝起きそうそう、
最悪だ。
*
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蓮(プロフ) - 作風がとても好みです。更新楽しみにしてます^^おヒマな時でいいので是非更新して欲しいです〜 (2018年2月15日 21時) (レス) id: 08e4aa4459 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 面白いです! 更新頑張って! (2017年11月26日 16時) (レス) id: b249a2dfe1 (このIDを非表示/違反報告)
桃色レイカン(プロフ) - ひゃー、能力かっこいいですね!! それに話の内容も面白いし!! 更新頑張って下さいね!! (2017年11月25日 23時) (レス) id: 94e6182257 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梅花 | 作成日時:2017年11月20日 23時