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片付け、翌日の朝食、お弁当の準備、洗濯。
一連の仕事が終わり、いつものようにソファーに深く座る。
A「はぁ〜終わった!」
珍しくテレビをつけてみた。
すると…見慣れた髪の色。聞き慣れた笑い声。
A(あ…佐久間さん…だ)
バラエティ番組で映画の番宣としてゲスト出演しているようだった。
A(この番組何だっけ?(笑))
Aは普段からテレビを観ないため、今どんなドラマが流行っていて、何のバラエティ番組が人気なのかもほとんど知らなかった。
A(あ、バナナマンさんだ。そっか…よく共演してるんだ。だからあの時も来たのかな。)
Aはただただ、画面に映る佐久間さんが楽しそうに笑っている姿をボッーと観ていた。
A(ほんと、この人、裏表がないというか。嘘のつけない素直なんだろうな…)
佐久間さんの人柄の良さが共演者の方々とのやり取りで伝わってくる。
A「やっぱダメ!」
Aはふと我に返り、声を出す。
A(明日、また由美に話そう。迷惑はかけたくない。)
テレビを消し立ち上がる
手にしているスマホが振動する。
ブブッ…
A「ん?」
画面を開く。すると先程テレビで満面の笑みを浮かべていたあの人の名前。
佐久間【こんばんはー!今日も一日お疲れ様でーす!昨日言ってたお裾分けの日程なんだけど、今週の土曜日のお昼頃とかどーかな?昼間だからちょっと場所考えなくちゃ行けないから、それはまた前日に連絡する感じで!】
A(…うそ、きちゃったLINE。。どうしよう…しかもまた一方的な感じだし。佐久間さんはいったいどういうつもりで誘ってきてるんだろう…正直わからない。もう心配されることもないし、ずっと気を使ってくれてるのもなんかね…)
Aは仕事・友人の悩み・相談事はすぐにでも起点が効いて判断も的確に出来るはずなのに、自分の事になると一気にエンジンが止まる。特に異性絡みは尚更だ。結婚に失敗して、そのトラウマと男性への不信感が今を尾を引いている。
言い寄ってくる男性は沢山いたが、脇目も振らず子育てに全力を尽くしてきた。
A(既読付けちゃったしな…返信しないのもなぁ)
A【こんばんは。お仕事お疲れ様です。
佐久間さんからのご好意で凄く嬉しいんですが…佐久間さんもお仕事忙しいと思いますし、色々とご迷惑をおかけしちゃうと申し訳ないので…やっぱりお会いするのはどうかと。】
Aは由美の怒る顔が脳裏をよぎったがそのまま送信した。
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作者名:FlowerDream | 作成日時:2024年2月25日 21時