もしもの世界のおはなし【BANANA FISH】

Name my emotions.【ASH】＊2018.11.30 ページ1

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「アッシュ！」
「Hi、英二。久しぶりだな」


奥村英二は何度目かになる渡米を果たしていた。
初めて伊部さんに連れられこの地に降り立ち、人生の中でこれ程までに刺激的でデンジャラスな体験をする事は無いだろうと断言出来るような経験をし、かけがえのない親友が出来たあの時から既に数年ーー

入国の手続きも手馴れたものになってスムーズに出国ゲートを出ると、外で待ち構えてたのはあの怒涛の日々を共に駆け抜けた末、生涯の友と呼べる存在となったアッシュ・リンクスその人だった。
多少の人ごみにいようとも目を引くその容姿は、遠目からでもよく目立つ。隠そうという努力はしているのかハットを被りサングラスはしているが…友人としての贔屓目かなんとなくアッシュだけが目に映るその景色から一際浮き出て見える気がした。
サングラスをずらしてと片手を挙げる彼に英二は笑顔で駆け寄る。


「やぁ、アッシュ。元気だった？」
「元気も元気、『オニイチャン』のいない生活は平和すぎてそろそろあのタヌキオヤジに喧嘩でも吹っ掛けてこようと思ってたところさ」
「もう！穏やかに過ごせているのはいいことじゃないか！そもそも僕をトラブルメーカーみたいに言うのやめてくれよ！」
「はいはい。暫くしたら穏やかなあの日々を懐かしく思うんだろうなぁ…」
「〜っ！アッシュ〜〜！」


睨み付ける様に見つめると、やれやれ…とでも言いたそうなアッシュの視線とぶつかる。
数秒無言で睨み合って？いたのだがどちらからともなく吹き出すと、止まっていた時間が動き出すように場の空気が晴れた。
お互い気の済むまで笑って落ち着いてから改めて――
右手を差し出し握手をする。そして親愛を込めてハグをした。


「おかえり。英二」
「ただいま。アッシュ」



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