第36話 過去:5 ページ37
眉を吊り上げたままのAさんはそのまま言葉を紡いでいく。
結局のところ私は彼女に慰めてもらいたかったのかもしれない。
あくまで後付けだがそうぼんやりと思ったりもした。
「それに楽しいだけが家族ではありませんよ。こうして比較をするのはあまり良くないのですが、とわこさんくらいなんですよ。暦海くんが駄々をこねたり我儘を言ったりするのは。聞き分けのいい子ですからね」
「嫌いだから、とかではなく？」
「ではなく。それに最近じゃとわこさんの姿を見かけては近寄るようになりました。客観的に見てですが、随分親子らしいですよ」
暦海と会ってもう5か月ほどになる。
言われてみればだがあいつとの距離は縮まっていた。Aさんの協力のもとではあるが。
「とわこさんが父親らしいことをしようと悩んでいるのと同時に彼もまた悩んでいます」
「…まさか息子らしいことをしようとしてるんですか？」
「私から見て、ですけどね。だからまだ結論を出すのは早いって言ったんですよ」
彼女の両手がそっと私の手を包む。
「二人とも家族としてはまだまだ半人前です。せめて私と暦海くんが一緒にいた時間くらいいないと」
「2年て…長くないですか？」
「それまで私もサポートしますよ！」
この人あと2年も私と一緒にいてくれるつもりなんか。
いそいそとエプロンをつける彼女の後姿を抱きしめたかったがそんな意気地はない。
…もしかしたらあと1年くらいしたらできるようになってるかもしれないのかな。
全てまだ成長途中のようだ。
「はぁ…。あんま根詰めてもいいことないしな。もうちょい肩の力抜いていきましょか」
私はわだかまりが抜けたような表情をしたのだろう。Aさんは安心したように笑った。
しかし料理を始めようとする彼女を見てふと一つの疑問が浮かぶ。
「そういえば暦海はAさんには我儘言ったりしないんですか？」
「言いますよ？…でも私はほら、姉みたいなものですから」
「それ前にも言ってましたね。でも私とすればお嬢さんが母親やったらいいな…とは…」
自分で言って後悔するとはこのことでしかし口は急には止まれなかった。
…これってプロポーズみたいじゃないか！？
着々と体温が上がっていく私に対してAさんは穏やかな笑顔を浮かべたままだった。
「私がお母さんじゃ、暦海くんが辛いですよ」
皮肉にも私はその言葉で一つの仮説にたどり着いた。
ついた、のだが。
…これなら思いつかないほうがよかったな。
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ゆーか@実況者厨 - 順位付きおめでとうございます。ほんとにtowacoさんの性格掴んでるなぁと思わず読みふけってしまいました。これからも応援しています！更新頑張ってください (2016年10月29日 10時) (
レス) id: b57f6b3e4c (このIDを非表示/違反報告)
おぼろ(プロフ) - スベリヒユさん» 誰かわかるかなと思っていたら即刻ばれました(笑)当たりです。がんばります、ありがとうございます。 (2016年10月10日 0時) (レス) id: c45ae40ad4 (このIDを非表示/違反報告)
おぼろ(プロフ) - ユウさん» ありがとうございます！がんばっていきますのでよろしくおねがいします！ (2016年10月10日 0時) (レス) id: c45ae40ad4 (このIDを非表示/違反報告)
スベリヒユ(プロフ) - 凄く面白かったです！！「暦海」っていうのは以前生放送で子供に付けたいと言っていた名前ですかね？雰囲気もギャグも素敵です！更新楽しみにしています！とわぽん大好き(≧▽≦) (2016年10月9日 20時) (レス) id: 3b55e177ce (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - めっちゃ面白いです!!towacoさん大好きなんでこういうの凄い嬉しい( *´艸`)更新頑張って下さい!! (2016年10月9日 16時) (レス) id: 63ce42142e (このIDを非表示/違反報告)
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