第16話 自転車:2 ページ17
花の日曜朝。
プリキュアが終わったと同時にAさんの車が家の前に停まった。
助手席に乗る暦海はAさんに促されてやっと「おはよ」とだけ言った。おお。
さてはて。やってきた公園はよく連れてきているのか暦海がさっさと走っていく。
暦海の自転車を下ろしながら私は聞きたかったことを聞いた。
「お嬢さん確か私に父親らしいことさせるためじゃないって言ってましたよね？」
「今日のことですか？ええ、はい」
「じゃあ、どうして私を呼んだんです？」
例えば彼女の両親でもいいはずだ。暦海の自転車もあの人らが買ってくれたらしいし。
本当は感謝の言葉が先にでるはずなのに私はこういうところばかりが捻くれている。
しかしAさんはにまにまと笑っていた。
「暦海くん最初は自転車興味なかったんですよ」
「はぁ…」
「でもとわこさんが自転車でうち来るから気になったみたいなんです。その証拠にほら、同じ色」
Aさんの家は自転車を出さないから私くらいしか乗っている人間を見ないのだ。
だからおかしな話ではない。
当たり前なのに、そんな当たり前のことが嬉しくなった。
「意外ととわこさんのこと見てるんですよ、彼。あっ！これ絶対内緒ですよ！」
「分かりました。…あと、それと、ありがとうございます」
「どういたしまして…？お礼を言われるほどじゃありませんよ。私個人的にもとわこさんには来ていただきたかったので」
だからこのお嬢さんは男を期待させるようなことを言わないでほしいと思ったが車から折り畳み自転車を取り出したその表情でそれがあながち嘘ではないと分かった。
「私、自転車マジで久しぶりなんです」
…彼女の目は真剣そのものだった。
練習風景と結果は二人の沽券のため割愛。
人生で5回も自転車に引かれる日が来るとは思わなかったとだけ言っておこう。
「でも1日で補助輪取れましたし大きな進歩ですよ！」
「明日から跨がって歩くだけでもいいんで練習すればすぐ乗れますよ」
「はい！それにしてもコーチ上手ですね」
私のパソコンの検索履歴が「5歳 自転車 乗り方」で埋まっているのはプライド故黙っていなくては。
お疲れさまでした、と帰り支度をしていると後ろからくいと裾を引っ張られた。
「…暦海？どした？」
「………おしえてくれて、あんがと」
それだけ言うとまたAさんの後ろに隠れてしまう。
「おん。はしゃぎすぎて、怪我するなよ」
このときの言葉は我ながら父親のようで、言えたことに安心した。
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ゆーか@実況者厨 - 順位付きおめでとうございます。ほんとにtowacoさんの性格掴んでるなぁと思わず読みふけってしまいました。これからも応援しています！更新頑張ってください (2016年10月29日 10時) (
レス) id: b57f6b3e4c (このIDを非表示/違反報告)
おぼろ(プロフ) - スベリヒユさん» 誰かわかるかなと思っていたら即刻ばれました(笑)当たりです。がんばります、ありがとうございます。 (2016年10月10日 0時) (レス) id: c45ae40ad4 (このIDを非表示/違反報告)
おぼろ(プロフ) - ユウさん» ありがとうございます！がんばっていきますのでよろしくおねがいします！ (2016年10月10日 0時) (レス) id: c45ae40ad4 (このIDを非表示/違反報告)
スベリヒユ(プロフ) - 凄く面白かったです！！「暦海」っていうのは以前生放送で子供に付けたいと言っていた名前ですかね？雰囲気もギャグも素敵です！更新楽しみにしています！とわぽん大好き(≧▽≦) (2016年10月9日 20時) (レス) id: 3b55e177ce (このIDを非表示/違反報告)
ユウ(プロフ) - めっちゃ面白いです!!towacoさん大好きなんでこういうの凄い嬉しい( *´艸`)更新頑張って下さい!! (2016年10月9日 16時) (レス) id: 63ce42142e (このIDを非表示/違反報告)
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