日替わり定食 【宮治】

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昼休み。生徒たちの声で騒がしい学食を素通りして、私が向かうのは自販機だ。


用意していた200円を突っ込んでボタンを押す。その毎日のルーティンが終わったところで後ろから声がかかった。

「またカロリーメイト食うとんのか」


私はこの男を知っている。名前は宮治。
この間の席替えで隣になって以来やたらつきまとわれている…………気がする。


「別にどれ食べても一緒だし。それだったら健康に良いものを食べる」
「勿体ないやん毎日同じもん食うの」



しかし人間の三大欲求の一つが足りない私には、どの食事も同じように見える。

「たった4本で一食分のカロリーとその他諸々の栄養素がついてくる。シンプルかつ合理的な素晴らしい食品でしょ」
「口の中パッサパサになるやんそれ」


せやからオレあんま好きやあらへんわ、と言う治の手にはパンとおにぎりが二つずつ。

さっき学食から出てきたところを見ると、どうやらそれは昼食ではなく間食らしい。成長期とはいえ恐ろしい胃袋だ。


「何や…………オレのが欲しいんか」
「別にいらないよ」


私の視線に気がついたのか治がおにぎりを差し出そうとするも、私はそれを手で制して断った。


食事なんかどれも同じ。
私にはとってはどれも味がしない同じものなのだから。

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