第四十三話 ー冷酷ー ページ13
「・・・ッ痛ぁ!」
潮江先輩と七松先輩・・・通称(なのかは分からないが)獅子座委員長に体を起こして反論すると腰に途轍もない衝撃が来た。
勢いをつけた訳でも誰かに叩かれた訳でも無いのに腰に稲妻が落ちたかの様な痛みが襲う。
腰が、腰がぁ・・・!と踠いていると俺の前髪が軽く揺れた。そして壁にカッと言う音を立て、何かが刺さった。
それは日光で銀色に煌めき、手に丁度良く収まるくらいの大きさの物。俺達には見覚えしか無かった。
「「「手裏剣・・・。」」」
何故、行成手裏剣が?
恐らくこの場にいる誰もが思った事だろう。
飛んで来た方を向くと善法寺先輩が右手に手裏剣を、左手は腰に当て、足元には保冷剤・氷嚢・布を置いて廊下に立っていた。
そして鋭い目で俺と獅子座委員長を見ていた。
「・・・A。」
「ッはい!」
善法寺先輩の何時もより低い声に身体がびくりと跳ね返事をする。
「僕、"安静に″って言ったよね?」
「・・・はい。」
「今、何してたの。」
温厚な善法寺先輩から発せられた言葉とは到底思えない程に冷たい言葉。
「その、体を動かしました・・・。」
「だから腰に負担がかかって再び痛みが襲ったんだよ。そして文次郎、小平太。」
「「・・・はい。」」
この善法寺先輩の迫力にあの二人も体が縮んでいる。
「治療中や怪我人・病人が休んでいる時は静かにしてって言ったよね?」
「「・・・はい。」」
「・・・。」
善法寺先輩はそれ以上咎めることは無かった。
ただ無言に俺を手当する。
肘に保冷剤を当て、布で保冷剤を巻き、固定する。腰には氷水を入れた氷嚢を「冷たいから我慢してね。」と一言言って当てる。
「・・・よし、これで終わり!A、文次郎、小平太。これからは暴れないでね?」
先程の冷酷な善法寺先輩の面影を全くと言っていいほどに感じさせ無い、人当たりがいい笑顔で俺にそう告げる。
きっと、保健委員として許せなかったんだと思う。
善法寺先輩は人の怪我をほっとけない優しい性格の持ち主だから。
「善法寺先輩、ありがとうございます。そして、すみませんでした。」
善法寺先輩に感謝と謝罪の言葉を言うと、先輩は微笑してこう言う。
「何言ってるの、僕は保健委員だからね。ただ・・・、自分の身体は大切にしようね。」
善法寺先輩、実は格好良い先輩だったりする・・・?
そう思った瞬間善法寺先輩は傍にあった布で足を滑らせ勢い良く転ける。
やっぱ、前言撤回かな。
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あい(プロフ) - ありがとございます🥺 (2022年3月20日 20時) (レス) id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
氷室アオイ(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます!体調までお気遣い頂き本当にありがとうございます…!!あいさんも、三寒四温の時期ですのでお体を大切にお過ごし下さい☺️ (2022年3月20日 20時) (レス) id: 1a5681ae5a (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 全員出動楽しみです!! リクエストこちらこそ忙しいのにありがとございます🥺 ゆっくりで良いので体を大事にして下さいね、、風邪引かないように気をつけてください (2022年3月20日 20時) (レス) id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
氷室アオイ(プロフ) - あいさん» コメント、リクエストありがとうございます!リクエスト無理を言ってしまい申し訳ありません… 忍術学園全員出動!ですよね?ご期待に応えれる様なお話は書けないかもしれませんが頑張ります!今の内容が終わったら即書かせて頂きます! (2022年3月20日 20時) (レス) id: 1a5681ae5a (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - あ!! ありがとございます 泣きそうですwww また続き描きますねwww えっとリクエストなんですけど映画を書いて欲しいです!! 喜三太救出とオオマガトキの話です (2022年3月20日 19時) (レス) id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷室アオイ | 作成日時:2022年1月17日 20時