【RKRN】鬼才なアイツは先輩が少し苦手【男主】

第五十三話 ｰ帰省ｰ ~忍術学園全員出動！パロ~ ページ23

蝉の声が轟く季節がやって来た。
熱い空気がじっとりと汗ばんだ全身を包んでいた。目を閉じると、まぶたの裏が赤かった。肌がじりじりと陽に焼けていく。


「何夏では当たり前の事をいってるんだ、A」


隣には自他共に認める変装の名人、そして不破先輩の追跡者の鉢屋三郎先輩。


「勝手に人の心読むの辞めてくれません？そして何で一緒に帰省しないといけないんですか、鉢屋変態。あ、間違えた。鉢屋先輩」

「反抗期か？しかし仕方が無いだろ、実家が同じ村だったのだから」


そう、不思議な事に俺と鉢屋先輩は同じ村で育ったらしい。
それが何故今分かったかと言うと、夏休みに入る少し前に母さんから手紙が届いたのだ。


『鉢屋三郎君へ
初めまして、三郎君。AAの母親です。突然で申し訳無いんだけど今度の夏休みAと帰ってくれませんか？実はね、三郎くんのお母さんと私って小さい頃お友達だったのよ。お互いお嫁に貰って故郷から離れたけど最近会ってね、まさか同じ村に住んでたなんて初めて知ったわ。そして三郎君の事を聞いてAと同じ忍術学園にいるっていうなら一緒に帰省した方が安全じゃないかしら、って思って。Aにも手紙は書いといたからAの事を宜しくね。
Aの母親より』


こんな手紙が俺に届いた時はびっくりしたよ。鉢屋先輩と実家が同じ村以前に母さん、実の息子と友達の息子に送る手紙逆になってるんだから･･･。

当然、鉢屋先輩には俺宛の手紙が届いている訳で俺のところへ飛んでやって来た。


まぁ、そんな感じで今一緒に村へ向かっています。


「･･･」

「･･･」

「･･･」

「･･･あ、もうすぐですね」

「･･･嫌、もうすぐですねとかじゃなくて何か話す事があるだろう。何で四年もいる後輩と無言で歩かないといけないんだ」

「別に僕は気にしませんけど」

「はは、三年前のAが一番可愛らしかったな。まだ純粋なAは私が目の前でAの顔に変装した時にはわんわんと泣いて雷蔵の足にしがみついてたからな。いやぁ、あの時のAは本当に可愛かっ･･･「あ、着きましたよ。鉢屋変態」そろそろ鉢屋先輩泣くぞ？」


鉢屋変態は置いておいて、子鳥のさえずり、風でさあさあと揺れる木々、魚が悠々と泳ぐ澄んだ川、空気の美味しい場所と言われたら真っ先に思いつくこの場所(故郷)、


「あ、Aー！三郎くーん！」


そして聞き慣れた声･･･、え？

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