109. 私 side ページ10
109.
《Aside》
…やっぱりそうだったんだ。付き合ってなかったとしても彼女の私では満たされないからセ フレがいた。…ってことだよね…。
でも今さらもうそんなこと知りたくない。もう何も聞きたくない。…
大吾くんの胸に抱き寄せられてすぐに耳をふさいでいた手を離して、大吾くんの体を押し離そうとしたけど、強く抱きしめられて離してもらえなくて...
大吾｢まだ途中やから聞いて｣
大吾くんの腕の中で首を横に何回も振って...
A｢...聞きたくない。離して｣
大吾｢...嫌や。離さへん。...Aちゃん、お願いやから聞いて｣
私の肩におでこを乗せて、チカラない声でそう言った大吾くんに私は抵抗することを諦めて…
A「…わかった。…聞く」
体を離して、お互いの顔を見ながら大吾くんは…
私と付き合いはじめたときはあの子とまだ切れてなかったけど、終わる話をできてなかっただけで私と付き合ってからは会ってなかったこと。
朝まで一緒にいたあの日はあの子と完全に関係を切る話をするために会いにいって、あの子が納得してくれるまで話してたら朝になってしまっただけで何もしてないってこと。
"友達"って最初に嘘をついたのは私にかっこつけたくて言っただけってこと。
…を話してくれて…
A｢…じゃあ…私では満足できないからセ フレがいたわけじゃなかったんだ？」
大吾｢当たり前やん。俺は毎回大満足してたのにわからなかったん？｣
A｢…だって…大吾くんの気持ちを引き留めるものが私にはなにもないから大吾くんは私から離れてあの子のところにいったんだと思ってたから…｣
大吾｢嘘がバレたあのとき俺が"もう無理"ってすぐに諦めてちゃんと話さなかったから…勘違いさせてしまったんやんな。
…本当にごめん。俺が全部悪い｣
大吾くんは私に向かって頭を下げ続けて…
そんな大吾くんの頭を私はそっと撫でて…
A「...大吾くんだけが悪いっていうのは違うよ｣
頭を上げた涙目の大吾くんに私は話を続けた
A「…あのとき私は自分から聞くことをしないで大吾くんの言葉だけをまって、去っていく大吾くんを追いかけもしないで諦めた。だから諦めたのは大吾くんだけじゃない。…私たちはあのとき、続けることを一緒に諦めて別れたんだよ」
自分の髪を片手でクシャクシャとした大吾くんは｢あぁもう…マジであんたのそういうところな…｣って言いながらふわっと私を抱きしめて...
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作者名：音香-otoka-
| 作成日時：2024年2月2日 21時
