2 話 : 約 束 ページ3
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と、Aが少しクスッと笑いながら言い返した。
千切は、「は?!」と少し耳を赤くして そんなんじゃねぇ と否定したが、Aには通用せず、Aはしてやったりとでも言うように、「図星だ〜」と意地悪に笑った。
「あっはは!同じだよ。最後の先輩、しなくちゃね。」
とAが言うと、千切は少し嬉しそうな顔をしてそっぽを向くと
「…おう。」
と、少し小さな声で返事をした。
・・・
教室に入ると、席の表が貼られていた。
俺は、自分の席とAの席を探した。
「…また隣か。」
「またよろしく、豹馬。」
「あぁ。」
Aがコッチを見つめて笑う。
自然と顔が赤くなってしまう。
可愛いと、好きだと、嫌なほど感じてしまう。
放課後、俺はAと帰っていた。
ひとつ、伝えたい事があって名前を呼ぶと、気の抜けた返事が帰ってきて笑いかける。
「今回の試合、絶てぇ勝つから見に来てよ。」
「それ、絶対?」
彼女は少し伺うように俺の顔を覗き込んで問いかける。
もしかして…忘れたのか?
「は?!もしかしてお前、忘れたのか?」
俺は、忘れてしまったんじゃないかという驚き、不安と焦りで少し、声をあげた
“ 約束 ” したじゃねぇか。
___
『なぁ、A。俺がもし、サッカーでレギュラーになってその試合、絶対に勝つ自信がある時はさ。』
『うん?』
『試合、絶対に見に来てよ。』
『いいよ。だって、ひょーま、カッコイイところ見せてくれるんでしょ?』
『うん、絶対。』
『ホント?!約束だよ、ひょーま!』
『おう!約束。』
___
あん時はまだ…小学生だったもんな。
コイツは忘れて…
「覚えてるよ?だから、絶対に見に行くよ。」
「“約束、しちゃったからね”。」
なんだ、覚えてるのかよ…。
「ふはっ!覚えてたのかよ!」
「覚えてるよ。だって、豹馬との約束だもん。」
「ばっ!!は?ちょ、おまっ、」
いきなりだろ!
それに、
「だからさ、私にカッコイイところ見せてよ?」
彼女は朝とは違い、ニカッと笑った。
俺はそんな姿を見てニヤけているのが、少し恥ずかしくなり口を手で隠して「おう、」とだけ返した。
…その顔は、反則だろ。
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作者名:kalmia | 作成日時:2023年3月7日 23時