ジャックポット【wrwrd】

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K国の話だ。
気分が悪かったら、遮ってくれ。

私は幼い頃から軍人になる為に育てられた。
男になれと。
その言葉通り、私は士官学校を男を押し退け首席になり卒業した。

首席は卒業時、王に謁見ができる。
私はそこで言われたんだ、｢国民の砦になれ。我が国の男たちのように｣と。

そこからは必死になっていた。
女と言われないように。
…私が戦場に立てなくなったのは、兄さんと組手をした日だった。

そう、先程帰って来た兄さんだよ。
私は彼に負けた。
そして、当時の陸軍大将はこう言ったんだ。

｢お前が男になれる日は来ない。だから頭を使え。｣

悔しかったね。
王や父に言われたように、男になれなかったんだから。
唯一の救いは、私が大将補佐に昇進し、当時立てた作戦で戦争に勝利できたこと。
それで王にとても褒められたんだ。

…あぁ、彼は良き王だった。
事件が起こるまでは。
その戦争から1年後くらいかな？
ちょうど、グルッペンが革命を成功させ、兄さんがK国の諜報員として戻って来たあたり。
巡回中だった兵が、観光客と間違えて国民に怪我をさせたんだ。
観光客が、市民を身代わりにしたとも言えるかな。

それに王は激怒した。
王は国民から選ばれて初めてなれるから。
王は実に国民を大切にしていた。
庶民には特に優しく、ね。

そこからだ、軍部に厳しくなったのは。
軍に回す金があるなら民のために使うこと。
訓練時間は短く、自由な時間を多く与えること。
…兵は自身の命より、国民の安全を第一に考えること。

その決まりに国民は大喜びだった。
だが軍部の人間は明らかに疲弊して行った。
それでも私達幹部がついていったのは、王が優しかったから。

でも…私達の忠誠は我々国への勝手な宣戦布告でヒビが入った。
大将各は皆、負けを覚悟した。
参謀長は自身が尊敬する相手に勝てるわけないと自信を無くし、外交官は自ら命を絶った。

良き王だった。
性差に藻掻く私を認め、荒くれだったシールズを包み、自身の性で苦しんでいた外交官を受け入れた。
だが…王は私達も国民であるという事実を忘れてしまった。
だから私は王を見限った。
彼らを、兵を守れるのは私だけだったから。

『…私達軍人を、私達の命を犠牲に平和を作ろうとした王を、兄さんは肯定したんだ。何千万という部下達の死を当然だと言ったんだ！』

テーブルが大きな音を立てる。
3人はただ、静かに私を見ていた。
チーノは私の手に自身の手を被せる。

em｢…私達はK国の軍人でも国民でもありませんから、詳しいことは分かりません。｣

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