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部屋に戻り、ノートを開く。
羽根ペンを片手に何か書こうかと考え込んでいると、ノックが聞こえた。
スタンドにペンを戻し、ドアを開ける。

ut「ごめんなぁ、ちょっとええか?」

大先生だったか。
私は彼を招き入れる。
座っていたイスを勧め、私はベッドに座った。

『生憎、出せる飲み物が無くてな。』

ut「あぁ、別にええよ。用事はすぐ終わるし。」

そう言って、彼は私に拳銃を向けた。
銃口を私の額に押し当てる。
彼の目に光はない。
他国でも無能の名は届いているが、それは表の仮面だったか。

『…なにか?』

ut「気味が悪いんよ。」

『ほう。』

気持ちが悪い笑みを湛える。
彼は表情を一切崩さない。

ut「この前まで敵国の大将やったんやろ?なんでこんな数日でグルちゃんに忠誠誓っとんの?」

とんだ尻軽だと思われているのだろう。
私はただの戦利品。
意志などないと思っていた。
ただマシな道を選んでいた。
彼との賭け事で勝てる道を。
1つ言えるとしたら

『彼に賭けたくなった。全てを平等に見る彼に。』

K国では、軍より国民が優先だった。
訓練があっても城下で何かあったら国民優先。
軍人が重症でも、軽傷の国民が優先。
そんな国民ファーストを掲げた国王の前で私は軍人になりきれなかった。
ただの護衛人。
そう言うのが正しかっただろう。
だが、この国は違う。
元のあの国にいた時から聞いていた。
彼の国では皆平等だと。
ここに来て本当にまだ時間は経っていない。
だが、彼に賭けたくなるほどに興味を持った。
私を妻になど馬鹿なことを言わなければなお良い君主だ。

『それに賭け事であそこまで私に考えさせるギャンブラー、そうそういない。』

敵国だった者を駒にしようとする賭け。
それにブラックジャックや戦争。
一歩間違えれば負けていたかもしれない。

『これで満足か?鬱。』

ut「…なんか君、調子狂うわ。」

『そうか。あと、私はウィロウ・サリヴァンだ。君という呼ばれ方は好きじゃない。』

私は片手を差し出した。
鬱は拳銃を仕舞い、その手を握る。

ut「俺も鬱やなくて大先生って呼ばれたいわ、ウィロウちゃん?」

『覚えておこう。』

今は敵ではない。
お互いの認識はそんなところだろう。

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白夜のダンテ(プロフ) - 最新話の夢主さんのセリフの「やろうじゃないか」が「野郎じゃないか」になってます……!意図的なら申し訳ないですが (2021年3月28日 19時) (レス) id: 518088bb48 (このIDを非表示/違反報告)
かみぶくろ - え?好きです。すごく上手に設定をしてらっしゃるぅ(尊敬) (2021年3月22日 23時) (レス) id: 50a29b0d71 (このIDを非表示/違反報告)
1 - 主人公の祖国や設定が、一方的に悪い感じじゃなくて、良い面もあるけど悪い面もあったって感じでちょっとしたリアリティみたいなものがあって、とても好きだなって思いました!凄く面白いです!(食事の挨拶、某アニメのですよね。私も見てるんです!!いいですよね!) (2021年3月18日 8時) (レス) id: 3bc86cc6f5 (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - コメント失礼します。あの……かっこよくて、美しくて、強くて、素敵です。語彙力なさすぎました…。賭け事で勝ちまくる女性が性癖に刺さりました()これからも応援してます!! (2021年2月26日 16時) (レス) id: 83f48e582b (このIDを非表示/違反報告)
デザートローズ(プロフ) - あ...好きです(唐突な告白)ちゃうんすよ!別にバカラとかブラックジャックが大好きとかやないんすよ!もう一つ言って良いっすか?ウィロウちゃんクソ可愛い()結婚しよ() (2021年2月26日 0時) (レス) id: 5180c6be50 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:熊坂
作成日時:2021年2月21日 11時

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