転入生の之呂井君 ページ2
『(今日転入生が来るってホントかな……)』
まぁある程度はグループが固まったうちのクラス。
一軍とか二軍とか、そういう上下関係はないと思…う。
「はい、皆さん席に着いて下さい。」
担任の先生。女の人で穏やかなんだけど声が優しくて授業中寝ちゃう人が多いのが悩みらしい。
「今日は新学期。なんと転入生が来ています!入っておいで〜!」
『(どんな人かな)』
静かに扉を開いて入ってきたのは少し小さめの男の子。
僕から見て左目を髪の毛で隠している、黒髪の吸い込まれるような黒目。
「……
少し俯いて、それだけ言うと黙ってしまった之呂井君。
あまり饒舌な方ではないようだ。
「あれっ?えっ…と、もっと何か……ない?」
あわあわしている先生。たまにこうやって焦ってる所が可愛いって話題になってたな。
「……青色が好きです」
好きな物とかじゃないんだ。
「…………………そっか…じゃ、じゃあ__さんの隣の席に座ってもらおうかな」
僕の隣か…だから席が増えてるのか。
反対側の席の人は遠いし、一人席だったから嬉しいな。
『…あっ……__です。ココだよ』
手を挙げて答えると、目が合ってこっちへと歩いてくる。
「……」
ガタンッと椅子を引き窓際の1番後ろの席に座った彼。
「……」
じぃっと見つめてくる彼に疑問を抱く。
『………どうしたの?見えない?』
「……ありがとう」
『えっ?』
聞こえた言葉に驚き、彼の方を向くが、彼はもう黒板の方を見ていた。
『(礼儀正しいんだよなぁ)』
彼は挨拶はちゃんとするようだ。
案外良い人なのかもしれない。
『んー…(ここ難しいな)』
僕が嫌いな数学の時間。
「……」
煩かったのか、之呂井君はこっちをじぃっと見つめてくる。
『…?』
首をこてんと傾げると、彼も同じ様にこてんと傾げる。
「……そこ……この公式使えばいいよ」
『え…?あ〜、ありがとう』
頭が良いみたいだ。
『…よし……っと、』
出来た、と少し微笑むと視線を感じた。
『……?』
「……」
気のせいみたいだ。
『ふぁ……』
眠たくなってきた………
午後の先生の声は朝の倍眠くなるんだよなぁ……
ほっぺたをぺしぺしして耐えてるけどもうそろそろ寝る…
ふぁ………
"_ふ………か__い…"
あれ……何だか気持ちいい
父さんが撫でてくれた時みたい
父さん…
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作者名:綺羅 | 作成日時:2022年12月25日 8時