入学 ページ21
『いよいよ今日ね、焦凍』
「あぁ」
『相変わらずの無表情ね』
「あぁ」
『……』
様子がおかしい。
いや、元々おかしいが、私の言葉を聞き流すなんてことは、今まで一度たりともしなかった。
「心配だ」
漸く、あぁ以外のことを喋ったと思えば、主語がない不器用な言葉だった。
「A、今からでも遅くない、俺と一緒に逃げよう」
『どうした焦凍』
「Aが俺以外の奴の目に写ると思うと……」
『今更ね 小中学の時も男子はいたわよ？』
「いや、あの時は全員に脅しを……あ」
『……』
＊
「なぁ違うんだA」
「こっちを見てくれA、見てくれないと死にたくなる」
ここまで重症だとは思わなかった。
登校中、何時間も同じことを言われ、気が狂いそうだったが、なんとか無事で雄英に着けた。
今も尚私に話しかけ続ける焦凍を無視して、1—Aと書かれた、大きなドアをあける。
大半の席が埋まっており、私たちは最後の方だった。
そのせいか、皆が私と焦凍に注目する。
その視線を気にせず、姿勢を保ちながら席に着く。
誰も、Aに話しかけることが出来なかった。
あまりの美しさに、目が離せない。
自信と気品に満ちた表情、立居振る舞い。
モデルも顔を真っ青にするような、手入れされた髪や肌。欠点が見つからない容姿だった。
クラス中がAにそんな印象を持っていることなど、本人は全く気づいていない様子だ。
(あぁ、キャラ演じるのも楽じゃないわ)
くらいしか考えていない。
＊
「A、グラウンドに移動だ」
窓を見つめてぼーっとしていると、焦凍に話しかけられた。
「大丈夫か」
『大移動で疲れただけよ
それにしても、グラウンド？ 入学式はないの？』
「分からない」
急ごう、と焦凍は私の手を引き、催促する。
行く以外の選択肢はないので、大人しく焦凍の後をついていくことにした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 815人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
q2n3qbzuWwYqZsD(プロフ) - 主人公の性格，求めてたものに限りなく近い (2022年8月21日 4時) (
レス) @page20 id: c07b904298 (このIDを非表示/違反報告)
あの - それな!!!!オールマイトいい人だなぁと思いました(^∇^) (2021年9月16日 6時) (レス) id: ed7f91fcee (このIDを非表示/違反報告)
ガムテープ(主食)(プロフ) - こんなに良い作品なのに何故かお気に入り登録者が1000いってない事に納得がいかないなぁ (2021年8月22日 20時) (レス) id: 7acb83f600 (このIDを非表示/違反報告)
ふろーらるのかおりをめざす。 - エルスさんに激しく同意(真顔) (2021年8月1日 11時) (レス) id: e25b0a7159 (このIDを非表示/違反報告)
エルス(プロフ) - 許婚と主人公ちゃんの性格設定が好き。本当に好きです！！！初めからこのストーリーがすごく気になった！超好みです！こんな素敵な小説を書いてありがとうございます！応援してます！頑張ってください！！ (2021年7月14日 3時) (レス) id: ac1370201a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：卵投げ合戦 | 作成日時：2021年5月22日 22時
