そして、誰も“俺の恋心”を知らない。 ページ9
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目の前で楽しそうに話すAと侑。
そうだった。
Aは、侑が好きなんだ。
Aの隣に立てるのは俺なんかじゃなくて侑なんだ。
楽しそうに話す二人に少し、いやとても嫉妬する。
別にいいだろ。
Aが幸せそうなんだから。
俺じゃAに幸せにできないんだから。
あの侑が唯一楽しそうに話す女子はAだけ。
、ますます俺に出る幕はないじゃないか。
そこ悲しみを紛らわせるほど俺は強くないんだ。
こんな思いをするくらいならいっそのこと、この恋心は風に流されてしまえばいいのに。
、なんて思ってもそうできないのが現状なのだ。
多分俺はAが侑と付き合っても君を嫌いになれないし、諦められないだろうな。
はは、俺ダメじゃん。
好きな人の幸せを願わないと。
さいてーだな、俺。
あぁ、俺は、
Aのことが、
「好き、。」
口から漏れる小さな小さな告白。
気づいた頃にはもう遅くて言った言葉は取り消せない。
でも運良くチャイムが鳴ったから聞こえていないはず。
危な。
この言葉をAに言えば君を苦しめるだけだろうな。
だから俺はこの気持ちに蓋をする。
溢れ出さないように、頑丈に。
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「...。」
「っ、!」
そんな俺を見つめる二つの視線には気づかない。
何かを見抜くかのような視線と、悲しげな視線。
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「また後でね、倫太郎。」
そう言って俺の斜め前の席に座るA。
少しもどかしい距離に今の俺達が当てはまるから余計虚しくなる。
少し背を丸めて座るAを俺は見つめる。
腰まで伸びた綺麗な黒髪も、日本人には珍しい真っ黒で綺麗な瞳も全部、全部好きなんだ。
「君の、その隣に俺が立つ未来はありますか...?」
そう小さく呟いても返事は返ってこない。
ごめん、A。
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俺、ちゃんと君を応援できる自信が無い。
そして、誰も“私の恋心”を知らない。→←そして、俺は“二人の恋心”に気づいた。
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みや(プロフ) - ありがとうございます!北さんは背中を押す役が結構多いので、どこかで必ず報われる作品を作ろうと思います! (2017年12月25日 8時) (レス) id: c376f87d56 (このIDを非表示/違反報告)
湯たんぽ - 最高したし涙も出てきました!!北さん好きなので余計に、、、、これからも頑張って下さい (2017年12月25日 5時) (レス) id: e17635b3c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みや x他1人 | 作成日時:2017年12月8日 17時