そして、誰も“俺の恋心”を知らない。 ページ6
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昨日頭を冷やすために部活を早めに切り上げて帰ってきたおかげか、随分冷静になれた。
今日は黒須監督の都合で朝練はなし。
でも癖でいつもどおりの時間に起きるようになってしまった体に苦笑が漏れる。
北さんにちゃんとお礼言わないとな。
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教室についた頃にはあまり人は居なかったから頬杖をついて外を眺める。
窓側の席で良かったな。
っ!
視界に入るのはAと感謝をするべき相手の北さん。
あぁ、そっか。
“幼なじみ”、だっけ。
いつも無表情で機械みたいなのにAといると笑うんだな。
もしかしたら、と思う自分に嫌気がさす。
そっか。
そうなんだ。
北さんもきっとそうなんだ。
でも北さん。
そいつは、Aは侑のことが好きなんですよ。
俺と北さんはAが好き。
Aは侑が好き。
あれ、じゃあ侑は?
侑は、誰が好き?
頭の中をぐるぐると回る疑問は誰にも答えてもらえずに残る。
答えを見つけることを一旦やめ、今見たことを忘れようとするため、頭を机に伏せる。
侑、お前は誰が好きなんだ?
もし、もしお前の好きな人がAなのなら俺は応援してやれないかもしれない。
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「倫太郎!おはよ!」
Aの声。
俺が色々考えてるあいだにもうついたんだ。
顔を上げてAの顔を見る。
「A、
二重の意味のおはよう。
君には伝わらないだろ?
それで、いいんだ。
「これ!レモンタルト!」
俺が昨日好きって言ったレモンタルト。
昨日の今日でもう持ってきてくれたんだ。
レモンタルトの入った紙袋を受け取り少し中を除くと白い箱には彼女の家が経営しているケーキ屋のロゴ。
もしかして、俺のために作ってくれたのかな?
「!これ、手作り?」
少しの期待をこめてきく。
「せやでー!口に合うかは分からんけど。」
はにかみながらそう言うAをみて好きだということを再確認する。
「ありがと。」
それだけで俺は笑顔になれる。
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みや(プロフ) - ありがとうございます!北さんは背中を押す役が結構多いので、どこかで必ず報われる作品を作ろうと思います! (2017年12月25日 8時) (レス) id: c376f87d56 (このIDを非表示/違反報告)
湯たんぽ - 最高したし涙も出てきました!!北さん好きなので余計に、、、、これからも頑張って下さい (2017年12月25日 5時) (レス) id: e17635b3c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みや x他1人 | 作成日時:2017年12月8日 17時