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すうっと肺いっぱいに息を吸ってこう言う。
「――よろしくお願いしまっ⋯ぁ」
どこかからぷっと吹き出すのが聞こえた。
勢いが良すぎて裏返ってしまったのだ、声が。
恥ずかしい⋯⋯と言うよりさっき笑ったのって多分⋯
「――太宰、幾らAでも可哀想だよ。謝りな」
「ふふ⋯ぷっ、くく⋯嗚呼、ごめんね?A⋯ふふ」
顔を隠した手に熱が移ってしまいそうなぐらいに顔が熱い。
治にぃの事だから、きっと数年経ってもことある事にいじってくるんだろう。
嗚呼、晶子さんの優しさが痛い。
「⋯っ、治にぃに謝ってもらわなくたって!
別に大丈夫なんだから⋯!」
本当は全く大丈夫ではない。
実際、未だに顔が熱い。
ただの強がりである。
⋯まぁ、それはさておき、晴れて私は十六歳になり、今までお世話になってきた武装探偵社に入社することになった。
今ではみんな顔見知りのため、緊張も遠慮も無い。
緊張してたから裏返ったんでしょ私の馬鹿っ⋯
「今日からAちゃんも同じ社員ですわね。
でも今までにも手伝ってもらったりしてたから、あまり変わらないかもしれませんわ」
腕にしがみついてくるナオミちゃん。
同い年くらいで話も合うためすぐに仲良くなった人の一人だ。
「そうかもねー⋯」と苦笑いで返すと、ほっぺたをむにむにつままれる。
それされると私太ってるって自覚しちゃうんだよね⋯困る
そんな風にナオミちゃんとじゃれ合っていると、いつの間にか後ろにいたらしい国木田さんが咳払いを一つした。
「早速だがAには仕事をこなしてもらおう。
⋯できるな?」
目の前に見せられた紙切れ。
それは私がすべき事が書いてある計画書だった。
一通り目を通して思う。
「⋯初仕事からコレですか?」
つい声に出てしまった。
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作者名:Near | 作成日時:2018年2月16日 0時