ワスレナグサ (ページ6)

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体育館の後ろの方から突然鳴り出す音と

いえーいと盛り上げる声が聞こえ、

驚きながら後ろを振り向くと

“いつもありがとう”と書かれた大きな板と

私の顔と祐希の顔が描かれたケーキと共に

他の部員と監督が入ってきた。

『えっ、なんですかこれ…』

石川｢どういうこと？｣

監督｢いつも頑張ってくれてる2人に
何かしたいって言われて計画したんだけど
驚いてくれたかな？｣

石川｢驚きはしましたけど…｣

驚きと嬉しさで声が出ないでいる私は

思わず泣いてしまっていた。

｢A先輩泣かないで下さい｣
｢そうですよ〜！｣

石川｢嬉しいんだろ？｣

『うん…ありがとう皆…』

私は本当に嬉しかったんだ。

マネージャーの仕事は誰にも認められない

そう心のどこかでは思っていたから。

こうやって皆にありがとうって言われて

サプライズまでしてくれるなんて。

『本当にありがとう、嬉しい』

｢A先輩朝から泣きすぎですよ｣
｢ケーキ食べます？｣

『ちょっとだけ食べようかな…
いちご欲しいかも』

石川｢ワガママだな｣

『祐希はいちご要らないの？』

石川｢別に。｣

あの日祐希が部活に誘ってくれてなかったら

こういう喜びも分からなかったな。

石川｢今度は何でニヤけてるわけ？｣

『祐希に誘われてなかったら
こんな嬉しい体験出来てなかったなって。』

石川｢あっそ。早くケーキ食べないと遅刻するよ｣

この学校でマネージャーとして

みんなの事を支えられるのはあと少ししかないけど

残りの時間も精一杯頑張ろう。