ワスレナグサ (ページ42)

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お父さんの運転でターミナルに向かい

バスが来るまで皆と待っていた。

相変わらず真佑は泣きそうで、

祐希は心配そうに私を見つめている。

健太「辛くなったらいつでも帰ってきていいぞ」

『うん、ありがと』

健太「ご飯はしっかり食べろよ？」

『たらふく食べてやるわ』

バスは到着し、次々に待っている人達が

バスに乗り込んでいるのが見えて

私は小さく息を吐き出して、

私なりの精一杯の笑顔で

『行ってきます』と振り返って言うと

祐希の瞳から1粒の涙が落ちてくるのが見えた。

もらい泣きしてしまいそうだったけれど、

もし今泣いてしまったら、

バスに乗り込まない気がしたから

一生懸命気持ちを抑えて足早にバスに乗った。

あんなに無口な祐希を見たのは初めてで

どうしていいか分からなかった。

バスが発車して窓から皆に手を振り続け

見えなくなった瞬間に手を止めて俯いた。

さっきまで我慢していた涙が

どっと溢れてきて声を出さずに

ひたすら泣いていた。

泣いていても抱きしめて励ましてくれてた

祐希はもう側にいないんだ。

もう今日から全部一人で解決しなくちゃいけないのだ。

今まで無意識に辛い感情を抑えていたのか

今になって辛く寂しくなって、

祐希とお揃いで買ったぬいぐるみを

ただ抱きしめて気持ちを落ち着かせていた。