ワスレナグサ (ページ24)

今日:31 hit、昨日:70 hit、合計:48,554 hit

24 ページ24

中学の卒業式が終わってから

早いようで1週間が経ち、

私が東京に行く日まで残りわずかとなったある日

突然祐希からの電話があり会うことになった。

祐希が迎えに来るまで身支度をしていると

健太が部屋の中に入ってきては

なにか物色をし始めた。

『何してんの？』

健太「これ全部持ってくの？
なにか要らないものとかないわけ？」

『ないよ。全部必要なもの』

健太「まじかよ。」

『何？私が居なくて寂しいの？』

健太「は？自惚れんな」

『とか言って何で泣きそうになってるわけ？』

兄は相変わらず口下手だ。

思ってもないことを口にしては

いつも後悔ばかりしている所は

祐希と似ているななんて思ったり。

『そういや、お兄ちゃんにあげるものあるよ』

お兄ちゃんがずっと欲しいと言ってた

キーホルダーケースと財布が包装されたものを

ギフトカードと一緒に渡すと、

驚いた様子の兄は口をパクパクさせながら

包装されたものと私を見比べながら

その場に座り込んでしまった。

『どうしたの？』

健太「ごめん、嬉しすぎて。」

私はまだ子供でお兄ちゃんに比べると

できないことの方が多いけれど、

誰かのために何かをすることは

お兄ちゃんの背中を見てきたから、

私でも唯一できることのひとつなんだ。