ワスレナグサ

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石川祐希side


Aは気が弱い泣き虫な女の子だ。


それなのに1人で何でも抱え込んで、


自分で自分を追い込んでしまうのも


Aの悪い癖だ。


Aが誰かと遊びに行く時に


必ず送迎をするのも、


マネージャーに誘ったのも、


俺の傍から離れないようにする為で、


悪い虫が寄ってこないためでもあるんだ。


それなのに、Aは俺とは違う


志望校に行くと聞いた時は胸が苦しくなった。


どうにか俺と同じ高校へ入学させたかったけど


Aの意思は固いようで、


合格発表の日にどうか落ちてますようにと


願っている俺は性格が悪いようだ。


一緒に正門をくぐり、番号を探してると


Aの番号があって小さく声をもらしてしまった


Aが受かってしまった。


来年から簡単に会える距離じゃなくなったんだ。


悲しいような切ないような、


言葉にならないこの感情が頭を埋めつくした。


『祐希がいつも、応援してくれたから
私頑張れたよ。本当にありがとう』


無邪気に笑って俺に話しかけてくる


Aが今はただ憎らしかった。


4月からAは東京の高校に行って


俺は愛知にそのまま残って。


遠距離になってしまうというのに、


Aは悲しくないんだろうか。


石川 ｢俺と離れて寂しくない？｣

『今までずっと一緒にいたから、
向こうで慣れるまでは寂しいと思うよ。』


俺が知らないうちに、


どんどん可愛くなっていくAを


俺から離れていくAを


どうしても俺だけのものにしたくて


毎日試行錯誤をしているなんて、


Aはきっと知らないんだろうな。

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