【d!】私とピアノと (ページ48)

今日:4 hit、昨日:14 hit、合計:98,357 hit

5曲目の音色ページ48

第2部

残りの曲数は、6曲

どれも5分近くある長いもので、中には6分間引き続けるものもある

体力がもちろん持つ訳もなく、いつも後半はきつい

拍手とともにステージにあがり、再び椅子へ座る

鍵盤を見る時は、いつも怖い

だって、1部も2部も、時に3部や4部がある時も、どの時だって手が震えているから

コンサートも、コンクールも何もかもそうだった

けど…

『………………あっ』(ﾎﾞｿｯ)

思わず声が出た

なぜなら

手が震えていなかったから

いつもだった、震えていて、その手を見る度に才能なんて要らないと思っているのに

何故か、あたたかくて、今まで味わったことがないくらいに落ち着いていた

1曲目を弾き始める

けど、弾いている時も手が震えず、逆にスムーズに弾けて、練習よりも成果は明らか

何故だろう

そう考える時間は、短かった

皆さんがいてくれるから

応援してくれて、支えてくれた人達が、見守っていてくれるから

見守ってくれている人がいるって、こんなにも幸せなんだなって

そう考えると、1曲目も2曲目も気づかないうちに次々と終わっていく

音も楽しそう。そんな感じ

空を飛んでるみたいに自由で、風がふくように心地よくて

気持ちが、明るい

『……………！っ……』

パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ

完全に自分だけの世界に入り込んでいた

気づいたら、4曲終わっていたらしい

1度立ち上がってステージ中央へ行く

いつも通りの少しのコメント時間

『………こんにちは…AAです……今日は…私のコンサートへのお越し、本当にありがとうございます

1部、2部と続けて、演奏と歌、聞いていただきました……残り、2曲になりますが……

1曲目は……時をイメージして…作詞作曲しました……

そして……2曲目は…私の大切な……支えてくださった人達の…ために作った曲です……』

会場がざわつき始めた

『どうぞ、残り2曲もお楽しみください………』

お辞儀して、また元の位置へと戻り、座る

1曲目の演奏を始める

時をイメージした曲、それは、春からの私を表したようなもの

変わることが出来たのか、それはまだ分からないけど、私の日々は

私の灰色だった日々は、たくさんの色で包まれた

そんな、時の流れを

不器用な私は、歌と曲でしか気持ちを伝えられないから

そして、2曲目を弾き終わり

ついに最後の1曲が来た