【d!】私とピアノと (ページ46)

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3曲目の音色ページ46

この曲が終われば、1部が終わって、休憩に入れる

この曲さえ………

『…………っ』

息が詰まるほど緊張しているのがわかる、だけど、はじめなきゃ

『…………(よしっ)』

鍵盤に指を置き、1度目をつぶってから前奏に入る

流れる音が心地よくて、最初のうちはミスしていたところもスムーズに

好きだなぁって思うのは、私が鍵盤を引いている時に、皆さんとおそろいのブレスレットのチャームが揺れること

元々このブレスレットは、1人で出かけた時に欲しいと思ってて、ずっと目をつけていた

そして、皆さんと休みの日にモールへ出かけた時、やっぱり目に入ってしまって

そしたら、皆さんが

「このブレスレット、Aみたいやな」

「ピッタリやと思うで！」

「似合うよ、絶対」

「俺たちも買ってお揃いにしよ！」

「じゃ、先輩は………紺色ですね」

誰かとお揃いにするなんて、今までなかった

なんか、皆さん女子高生みたいだなぁって思って、でもそのことが嬉しくて

私もちゃんと色があって、お揃いで、何より、音符のチャームが……

音楽が私らしさなんだって、そう思わせてくれたから

そんな、思い出のブレスレット

そのブレスレットのことを考えながら、この演奏に望んでる

そして

『…………(この2段落が終わったら………成功は確定する…！！)』

あんなにたくさん練習したところに差しかかる

『………………』

指が絡まないように、難しいリズム調を奏でて、ペダルを踏み間違えないように

『…………(あと……あと少し……！！)』

最後は和音を間違えないで、強弱を優先させて

『！！…………』

成功………した

思わず声が出そうになった

けれど、そんな喜びも抑えて続きを演奏する

あの時間は、本当に大変で心が折れそうになったけど、皆さんが支えてくれたおかげで引けた

まるで夢のように早く進み、その曲は終わりを迎えた

パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ

椅子からたって、ステージ中央へ行く

『…………ふぅ………はぁ……っ』

体力がないのは昔から、ペ神が専属医としてずっとそばにいてくれたのが、今になって凄くわかる

お辞儀をして、1度会場を見回す

これで1部が終わり

たくさんの拍手を受けながら、私は1度目舞台袖へと戻った