【d!】私とピアノと (ページ45)

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2曲目の音色ページ45

『………………』

あつい

お客様の視線も、この明るいスポットライトも、自分の胸の鼓動も

お辞儀をして、ピアノの椅子に座る

きっと今頃、栞さんが撮影をして、リアルタイムでお母様とお父様が見ている

椅子に座って目をつぶり、深呼吸する

前奏、ドからラまでの音を正確に、なめらかに、指の移動の速さに気をつけて

繰り返し、不自然にならぬよう、同じところを繰り返すという意識より、音の大きさに気をつけて

終わり、最後はゆっくり、静かに、でも音一つひとつは大切に

『………………ふぅ(ﾎﾞｿｯ)』

1曲目が終わった

ミスなし、正確に丁寧に

なんでかな、こんなに引いてて楽しくて、心が踊って、心地いい

1人で練習していた頃となにが違うのか、それは明らかに皆さんがいるということ

きっと、この会場のどこかでこの音を聞いてくれている

ステージでは1人でも、心はみんなでひとつだから

次々と曲が終わって、歌を歌う曲も入ってくる

そして、何曲か終わったあと、ついに問題の曲が来た

問題の曲というのは、私が今回のコンサートの曲、全27曲の中で1番苦戦したもの

指の動きが早くて、リズムもつかみづらい、でもすごく名曲で、とても夏らしい曲

だから、この曲の練習は、どの曲よりも練習して、聴いた

それだけ練習したということは、皆さんが近くにいてくれた時間がどんな曲よりも長いということ

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ある日の放課後

『うっ………またここで……』

syp｢ここでのミス、やっぱり難しいっすね…｣

ht｢この曲はど素人の俺たちでも、他の曲よりヤバいってことはわかる｣

ut｢Aちゃん、大丈夫？？もう練習し始めて2時間経つけど……｣

そう言われて、時計を見ると、夜の7時

もう2時間たっていた

『す、すみません………こんな時間まで……み、皆さんは先に帰られてください……！！』

外は夏だからと言っても、もう真っ暗、私の練習に付き合ってもらう訳にはいかない

syp｢はぁ……先輩、帰るわけないじゃないですか、まだ時間、1時間もあるんっすよ？｣

『えっ……』

ht｢ショッピ君の言うとおり、まだ時間はあるから、練習、頑張ろ？｣

ut｢せやで！Aちゃん、ほら！気を取り直してやってみよ！｣

『……！！はい…！！』
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あの時間を………無駄にはしない…！！